ドローンに関連する法律・規制

ドローンに関連する法律としては、航空法、道路交通法、電波法、民法、プライバシー、肖像権、個人情報保護法、市町村の条例があります。なお、電波法も関連しますが、これに関しては、前回のドローンの基礎の中で解説しましたのでここでは省略します。

まずは航空法からです。

航空法

2015年12月に施行された航空法改正では、以下の様に規制されました。 (1)無人航空機の飛行の許可が必要となる空域について

  • 空港等の周辺の上空の空域
  • 人口集中地区の上空
  • 150m以上の高さの空域

(2)無人航空機の飛行の方法

  • 日中(日出から日没まで)に飛行させること
  • 目視(直接肉眼による)範囲内で無人航空機とその周囲を常時監視して飛行させること
  • 人(第三者)又は物件(第三者の建物、自動車など)との間に30m以上の距離を保って飛行させること
  • 祭礼、縁日など多数の人が集まる催しの上空で飛行させないこと
  • 爆発物など危険物を輸送しないこと
  • 無人航空機から物を投下しないこと

<承認が必要となる飛行の方法>

*重量が200 グラム未満のものは無人航空機の対象からは除外されます。

この規制内容に関していくつか例を挙げて説明をしたいと思います。

①『人口集中地区』に該当するが、自分の家の庭であれば敷地内だし、ホバリング位いいだろう。

⇒自分の家の敷地内であっても『人口集中地区』を飛行させると法律違反になってしまいます。重量が100 グラム未満であれば問題はありません。100g以上でも屋内であれば、大丈夫です。

②『人口集中地区』以外であり、大学等の卒業式などで卒業生全員がグラウンドに集まりドローンで撮影。

⇒このようなケースは非常に微妙ですが、『イベント上空飛行扱い』になる可能性がありますので要注意です。最近では、ドローンを飛行させてると周辺住民の連絡で警察さんが駆けつけてきますし、事故が起こると調査が入りますので、飛行判断には注意が必要です。

③『人口集中地区』以外の場所で農作物の撮影をするが、畑の中を電柱と電線が走っており、どうしてもその近くを飛行しなければいけない。

⇒『30m未満の飛行』に該当します。

④夕方に撮影があるがスタッフの到着が遅くなり日没時間になったが、まだ全然明るいから大丈夫だろう。

⇒夜間飛行の定義は、日の出前、日没以降となっており、もし日没以降になる可能性があれば『夜間飛行』の申請を事前にしておく必要があります。夜間飛行に関しては、まず訓練が必要ですので、夜間訓練用の許可申請を行い10時間の訓練飛行後、訓練以外(訓練以外の場所、目的)の飛行申請を行い、許可されて初めて夜間飛行が出来ます。

これらの弊社の対応としては、『目視外飛行』、『30m未満の飛行』、『人口集中地区』に関して、1年間かつ日本全国地域で包括的に許可を取得しております。また、夜間に関しては夜間訓練用の許可を取得しておりその訓練も実施済となっています。既に訓練以外の夜間撮影の実績もあります。

道路交通法・民法

航空法以外にも、ドローンを飛行させる上で気を付けなければいけないのが、道路交通法です。趣味であれば道路付近で飛行させる事は無いと思いますが、仕事の場合は多々あります。

民法207条の規定では、 土地の所有権は、法令の制限内において、その土地の上下に及ぶ。 という規定があるため、道路の上空も道路交通法の対象となり、上空を許可なく飛行させることは道路交通法違反となりえます。

ここで警察庁のHPを見てみましょう。道路使用許可申請手続きの所で、禁止行為、許可の必要な行為等がまとめられています。しかし、現道路交通法はドローン観点の見直しはまだされておりませんので、現在の内容から考察をします。 以下に抜粋します。

(1)道路における禁止行為について 道路交通法第76条では、何人もいかなる場合にあっても、交通の妨害となるような方法で物をみだりに道路に置いたり、道路上の人や車を損傷させるおそれのある物を投げるなどの行為を行うことは禁止(絶対的禁止行為)されています。

(2)道路使用許可が必要な行為

①道路において工事もしくは作業をしようとする行為(1号許可)
②道路に石碑、広告版、アーチ等の工作物を設けようとする行為(2号許可)
③場所を移動しないで、道路に露店、屋台等を出そうとする行為(3号許可)
④道路において祭礼行事、ロケーション等をしようとする行為(4号許可) 具体的な行為については、各都道府県道路交通規則に定められています。

(3)許可基準道路使用許可が必要な行為を行う場所を管轄する警察署長は、道路交通法第77条第2項の規定に基づき1から3のいずれかに該当する場合は許可をしなければなりません。

  1. 現に交通の妨害となるおそれがないと認められるとき
  2. 許可に付された条件に従って行われることにより交通の妨害となるおそれがなくなると認められるとき
  3. 現に交通の妨害となるおそれはあるが公益上又は社会の慣習上やむを得ないものであると認められるとき

ーーー抜粋おわりーーー

これらを鑑みると、道路上空を飛行させるのは、たとえ意図していないとしてもドローンのトラブル・墜落により、『(1)道路における禁止行為』の人や物に損傷を与える、に該当する可能性がありますので行えません。

道路上空は飛行させないが、道路以外の敷地がないため離発着のみ道路の端から行うというのも、厳密には道路領域上空を飛行させる事になりますので、(1)や(2)の①に抵触するのではないかと思います。

道路においては、法律以前に事故が起きると影響が大きいですので、最大限に注意すべきだと思います。ただし、現実的には全て道路以外からの離陸は難しい所があるのも事実であり、仮に道路警備を付けて許可申請を出したとしても許可は下りないだろうというのが大多数の意見のようです。理想(法律)と現実にギャップがあるのは確かです。

プライバシー・所蔵圏・個人情報保護法

これらは多くの法律が関連しています。私が参考としているのは、2015年9月に総務省から発行されている『ドローンによる撮影映像のインターネット上での取り扱いに係るガイドライン』です。 http://www.soumu.go.jp/main_content/000376723.pdf

このガイドラインでは、ドローンによる撮影映像をインターネット上で閲覧可能とする事について考え方を整理し注意すべき事項をまとめられたものとなっています。目次としては以下のような内容が記載されています。具体例があり非常にわかりやいので、一度目を通しておくと良いと思います。10ページ程度です。

  • 基本的な考え方
  • プライバシーとの関係
  • 肖像権との関係
  • 具体的に注意すべき事項
  • (参考)個人情報保護法との関係

要約をしますと、個人を特定できる人の顔、ナンバープレート、住居内の生活状況等がわかる映像、たまたま写りこんでしまった特定できる人の顔やプライベートな部分等、の取扱いには気を付けなければいけません。

各都道府県の条例

例えば北海道では、9つの道立公園、札幌市が管理する公園で飛行が禁止されています。観光名所は道立公園の場所も多いため、事前に許可が必要です。北海道に限らず、公園は全てではありませんが、多くの都道府県で規制されています。

条例なので結構頻繁に変わっているようで、ネットで調べてみてもいくつかのサイトに食い違いがありました。公園等で飛行させる場合は、直接各自治体に確認するのが間違いがないようです。

以上、法律・規制関連でございました。

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