TTF(True Terrain Following)-低高度で地形追従をさせる方法-

SPH Engineering開発のTTF及び関連するアプリケーションをシリーズでご紹介します。一覧は、「製品サポート」の「UgCS/TTF関連」をご確認ください。

1.はじめに

TTF(True Terrain Following)は、常に地上からの飛行高度(AGL: Above Ground Level)を一定に保ち、低空飛行を可能にする機能です。ここでは、UgCSを使ってTTFを実現する方法の概略を説明します。UgCSの詳細については、リンク先を参照してください。

TTF(地形追従)モードでは、正確なデジタル標高モデル(DEM)をUgCSにインポートすることなく、ドローンを低空で一定の高度(0.5mから)で飛行させることができます。低空に限らずレーダタイプの高度計の場合、50mまで設定できるので、山岳部のLiDAR測量など一定高度の精密飛行に最適です。

True Terrain Following 地形追従システム 紹介ページ

2.必要なシステム構成

TTFモードでドローンの飛行を可能にする統合システムは、以下の構成です。

  • UAV
    • DJI M300/M350 RTK
    • DJI M600/M600 Pro(RTKを含む)
    • DJI M210/M210 v2(RTKを含む)
    • DJI A3(カスタムメイド)
    • ArduCopter付きPixhawk
  • レーダもしくは、レーザ高度計
  • オンボードコンピュータ:UgCS SkyHub
  • 地上制御ソフトウェア:UgCS

3.正確な低空飛行の方法

磁力計と地中レーダ(GPR:Ground Penetrating Radar)には、地面の下を見ることができるという非常に便利な能力があります。このような理由から、地中レーダは鉱業、エンジニアリング、建設、その他多くの産業、さらには考古学の分野で広く使用されています。通常、地表を人間が歩くには危険すぎる(あるいは壊れやすい)場所では、センサを搭載したドローンが活躍します。しかし、これには1つ問題があります。それは、ドローンを正確に低空で飛ばさなければならないという点です。

DEM利用の欠点

通常、このような目的には、地形の表面を表すデジタル標高モデル(DEM)データが使用されます。しかし、このようなデータは多くの遠隔地では利用できず、利用できたとしても精度が十分でないことが多いと言えます。例えば、市販されているDEMデータ(WorldDEM)の中で最も精度が高いものの1つは、鉛直方向の精度が3メートルです。ミッションのためにセンサ位置が地上から2メートル、あるいは1メートルの高さが必要な場合、このデータは役に立ちません。

PhotogrammetryやLiDARで取得したDEMは一見ソリューションを提供しているように見えます。これらは、最大1センチメートルの精度を提供し、非常に正確な地形図を作成することができます。しかし、ドローンのミッションプランニングにとっては、多くの時間を浪費することになります。正確に地形追従するためのウェイポイント数は膨大となり、マッピングされた地形エリアを正確に追跡するには、多くの時間を飛行する必要があります。バッテリーの消耗は言うまでもありません。

現場での測定

既存のデータに頼るのではなく、実際の地形情報を使えばいいのでは?これは、無人システムの統合サービスとソフトウェア開発を提供するSPH Engineeringが市場に投入した新しい統合ソリューションの背景にある、ゲームチェンジャー的発想です。

独自のオンボードコンピュータUgCS SkyHubとレーダ高度計を、磁力計またはGPRを搭載したドローンに追加することで、ウェイポイントが多すぎてミッションが非効率になることなく、地形を正確に追跡することを可能にします。

SkyHub

まず、レーダ高度計が地形表面までの距離を測定し、途切れることのないデータフローを収集します。次に、搭載されたコンピュータがそれに応じてドローンの飛行高さを調整します。既存の情報ではなく実際のデータを使用するため、このモードはTTF(True Terrain Following)と呼ばれています。

Nano Radar NA24(レーダ高度計)

UgCS SkyHubをUgCS ODRと組み合わせて使用することで、パイロットは日常的なセンサーミッション中に発生する可能性のある望ましくない事故からさらに保護されます。このシステムは、TTFモードおよび通常の自動操縦ミッションで使用できます。ODRは、デジタル標高モデル(DEM)をミッション計画に使用する場合、木の枝の縁やその他の突起物の一部を捕捉する可能性が依然としてリスクとして残る磁気調査にも非常に役立ちます。

Obstacle detection radar(障害物検知レーダ)

ワンクリックでTTF(True Terrain Following )

SPH EngineeringのUgCSソフトウェアの特別アドオンと組み合わせることで、完璧な飛行高度精度で手間のかからないドローンのミッションプランニングが可能になります。TTFモードでは、各測量ラインに2つ以上のウェイポイントを設定する必要がないため、ミッションを中断する必要がありません。オペレーターは、希望する飛行高度と飛行速度を設定し、TTFモードを起動するだけです。残りの作業は自動的に行われます。

鉱業、エンジニアリング、考古学に加え、この新しいソリューションは、磁力計やGPRは使用しないが、他の理由で対象物の上空を飛行したり、特定の高さで地表を追跡する必要がある場合に便利です。これは、農業における散布作業や、精度が優先される他の多くの状況を含みます。

効率的な調査計画を可能にする統合システムの主なコンポーネントの1つがUgCSです。UgCSは飛行計画ソフトウェアで、ユーザフレンドリーな方法で飛行経路を簡単に作成、計算し、取得したデータを解釈するためのツールを提供します。

4.応用例

インカ遺跡での例

インカ遺跡の考古学的調査のためのGPR+UAV+レーザ高度計統合システムが使用された例です。

このシステムは、地中レーダー(GPR)とレーザ高度計を搭載したドローンを統合したもので、ドローンはTTFモードで飛行することができます。GPR調査の黄金ルールは、できるだけ低速で飛行することです。レーザ高度計を追加することで、デジタル標高モデル(DEM)データを必要とせず、ドローンをTTFモードで飛行させることができ、正確な調査結果を提供することができます。

参考YouTube:https://youtu.be/xVtMJKzG2uM

レーザ/レーダ高度計の利用

GPRを搭載したドローンに、独自のオンボードコンピュータUgCS SkyHubとレーザ高度計を追加することで、ウェイポイントが多くなりすぎて効率が悪くなることなく、地形を正確に追跡することが可能になりました。

参考YouTube:https://youtu.be/HuR1KLhVltw

レーダ高度計とレーザ高度計の長所、短所

  • レーダ高度計
    明るい太陽、霧、雪、雨など、あらゆる種類の表面上で機能します。ただし、NRA24 は周波数 24Ghz を使用しており、日本では別途、技適取得が必要ですが、弊社では技適取得したNRA24 を提供可能です。ご相談ください。
  • レーザ高度計
    どの国でも使用できますが、さまざまな環境条件や、水、氷、雪、砂などの反射率の高い表面 (明るい太陽の下)ではあまり信頼できません。

飛行高度60cm/50mで飛ぶ

Zond-12e Drone 500A地中レーダー(GPR)を搭載したDJI M600ドローン。この統合システムにオンボードコンピュータUgCS SkyHubとレーザ高度計を追加することで、TTFモードで高度60cmの飛行が可能になりました。

またTTFを使用することで50m程度までであれば、地形に対して一定に飛行することが出来るため、起伏の激しい場所でも精密に飛行することが出来ます。LiDARスキャナーを使用した測定に適しています。

参考YouTube: https://youtu.be/Cheg-s5BxA8

TTFに関連する次の記事は以下を参照してください、もしくは、カテゴリの「TTF(True Terrain Following」を参照してください。

SPH Engineering開発のTTF及び関連するアプリケーションをシリーズでご紹介します。第2回目です。一覧は、「製品サポート」の「U...

以上

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