LiDAR SLAM製品の比較・選び方

ハンドヘルド型スキャナーであるLiDAR SLAM製品が小型軽量化、点群の精細・精度の向上により、非常に注目が集まっています。

ここでは、LiDAR SLAM製品を選択するに当たって注意すべき点を出来るだけ客観的に纏めました。

LiDAR SLAMの原理

LiDAR SLAMとは、LiDARセンサーを使用して周囲の3次元構造をリアルタイムで取得し、自己位置を推定する技術です。レーザを対象物に当て反射してくるまでの時間、角度により物体までの距離や位置を正確に測定することができます。

SLAM技術には、LiDAR SLAM以外に、Visual SLAM、Depth SLAMがありますが、LiDAR SLAMは他の方式と比較して、光量が少ない夜間でも測定でき、屋内でも正確という特徴があります。最近の製品は、LiDAR SLAM+Visual SLAMの二つの方式が装備されています。

基本的に、LiDAR SLAMは周囲の3次元構造を把握して自己位置を推定する技術だけに、周りに何も無いオープン(草原など特徴がない)な空間を苦手としますので、これを理解して運用を考慮する必要があります。

LiDAR SLAM製品の選び方

LiDAR SLAM製品を選択するには、上記LiDAR SLAMの原理を理解した上で、利用環境、予算、運用目的にあった製品を選択することが大事になります。

  • 利用環境
    本記事を参照されている方は測量用途が多いと思いますが、町の中のような特徴点が多い場所での計測なのか、河川、高速道路などオープンエリアが多い場所での計測が多いのか、を考慮する必要があります。製品によっては、弊社でご紹介する製品のようにオープンエリアでの測定を強化したものがございます。また、測定したいレンジによりLiDARモジュールが異なりますので、どの位の範囲の測定が出来れば良いかも明確にする必要があります。大きなレンジを測定するとなるとLiDARモジュールが大型化し、コストが数倍にもなるからです。
  • 予算
    使用されるLiDARモジュールによって価格帯も大きく幅がありますが、最近はLivox製Mid360の小型モジュールを使用した低価格帯の製品が人気です。測定レンジは対象物にもよりますが、30~50m程度になります。本記事は、Mid360を搭載した製品に限定しています。
  • 運用目的
    目的が測量用途の場合、多くの補正方式を持っている製品が良いかと思いますが、価格も比例する為、予算を踏まえて目的に合ったものを選択するのが良いかと思います。

LiDAR SLAM製品の機能比較

それでは、上記の内容を具体的に比較いたします。弊社では、SHAREとGreevalleyの二つのメーカを扱っておりそれぞれ特徴があります。わかりやすくするため、比較用にもう一つ他社メーカを加えた3製品で以下に比較します。

外観

 SHARE S20  Greevalley O2Lite

機能や性能の比較

SHARE S20  Greevalley O2 Lite  他社
LiDAR Livox製 Mid360 Livox製 Mid360 Livox製 Mid360
スキャンレート 200,000ポイント/秒  200,000ポイント/秒  200,000ポイント/秒
RGB解像度 16MP × 2 12MP × 2 48MP × 2
(実際は12MPの様です..)
Visual SLAM
カメラ
1.0MP×1 1.3MP × 2
バッテリー
駆動時間
2.5時間 2時間
(デュアルバッテリーバックパック使用時は4時間)
1.5時間
RTKモジュール 組込 組込 ネジで脱着可能
重さ 1.2kg 1.3kg 1.2kg
IP等級 IP5x IP64 IP54
内部ストレージ 256GB TFカード 512GB SSD 256GB TFカード
LiDARセンサー
レイアウト
25度
3製品の中で一番地面をスキャンしやすい
20度程度(実物目測)
地面をよりスキャンしやすくなっている
水平(0度)
RTK補正 サポートされている サポートされている サポートされている
PPK補正 利用不可 サポートされている 利用不可
絶対精度
(RTK時の実測)
3cm程度 3cm程度 3cm程度
オープンエリアマッピング サポートされている サポートされている 利用不可
アプリ iOS / Android iOS / Android Android
アクセサリー ハンドヘルド、測量ポール接続アダプタ ハンドヘルド、バックパック、フロントパック、ポール使用可 不明

上記のポイントとしては、カメラ解像度、Visual SLAM(カメラ)の有無、オープンエリアマッピング(特徴点の少ない所での点群生成)、アクセサリー有無などが違いとしてあります。

SPECに現れない精度や点群の状態などは、弊社各製品のホームページに検証レポートへのリンクを記載していますので、ご確認ください。

次に、弊社が使用して感じた各製品の良い点、悪い点をご紹介します。

SHARE S20

SARE S20の詳細は、リンク先をご確認ください。

良い点

  • 付属するアプリ及びソフトウエアは、直感的に使用出来、非常にシンプルで使いやすい。
  • カメラの画素数が高いためRGB表示が綺麗。樹木の点群は特に綺麗に見える。
  • RGB用の写真は、そのまま取り出す事が出来、Metashapeなどの点群ソフトウエアで点群を生成することが出来る。カメラは機械式シャッターの為、フリッカー現象、ローリング現象が発生しない。
  • 価格対性能のコストパフォーマンスが非常に良い製品。

悪い点

  • 日本の座標系に対応しているが、垂直座標系はまだサポートされていない為、RTKモードで測定した点群の高度は楕円体高になる。
    →鉛直座標に関しても、11月のPointCloud Studio version 2.4で対応予定です。これにより、RTKで測定したデータを楕円体高から標高に変換することも可能になります。

(注)楕円体から標高に変換するには別途ジオイドモデルが必要であり、ジオイド・モデルを利用する際は、測量成果の複製承認申請(測量法第29条)又は使用承認申請(測量法第30条)が必要です。

Greevalley O2 Lite

Greevalley O2 Liteの詳細は、リンク先をご確認ください。

良い点

  • 多くの機能やアクセサリーがあり、多くの運用を想定した使い方をすることが出来る。日本の座標系にも完全対応。
  • LiGripシリーズとして実績ある為、ソフトウエアの完成度は高い。

悪い点

  • 機能は豊富なため、ソフトウエアの操作が少し複雑である。
    (弊社サポートをご利用ください)

最後に

これらをご参考に製品をご選択ください。ご相談頂ければここでは記載出来ないより詳細なお話をすることも可能です。

以上です。

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