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MATRICE300 RTK + Zenmuse P1 測量精度検証 第4回目

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今回は非常に基本的な所の話です。ですが、写真測量を行う上でとても大事な要素、基本になります。

被写界深度とは

Zenmuse P1は、ご存知の様にいわゆる一眼カメラと同じサイズのフルサイズセンサーが搭載されています。そのP1を扱う上でとても大切な事は、被写界深度を深くなるように設定する必要があります。

被写界深度とは、焦点があっているように見える前後幅の領域の事を言います。厳密には焦点が合うのはただ一点しかありませんが、一定の許容値を認める事でその前後にも十分にはっきりと見える範囲があります。それを被写界深度と呼んでいます。

一般的にセンサーが大きいほど被写界深度の影響は大きくなります。芸術的な写真では、背景をぼかすことで被写体がより際立って見せる技術がありますが、写真測量では真逆な事が要求され、どの部分も鮮明に写すことが要求されます。どの部分も鮮明に写すには、被写界深度を深くする必要がありますが、それには絞りを入れる(F値を大きく)する必要があります。

例えば、ファントム4までの1インチセンサーですと、オートの設定(F2.8~F5程度になる)でもほとんど問題はおきませんが、P1の場合は、絞りが開いていると高低差がある現場では焦点が合わない部分が出てしまう可能性があるため、マニュアル設定で絞りを入れる事が大事になります。

下表は、35mmレンズ使用時の絞りに対する焦点が合う最小距離です。

絞り(F) 最小距離(m) GSD(cm/pix)
2.8 49.7 0.6
5.6 25.0 0.3
8 17.5 0.2
11 12.6 0.16
16 9.7 0.1

通常、35mmレンズ使用時は、GSD1.0cmで高度は80mとなりますので、表を見る限り多少高低差があっても十分余裕があるのではないかと思います。ただ、これは前述のように焦点があう領域に一定の許容値を定めて計測しているため、上記の最小距離でくっきりと見えるという事ではありません。少しでも鮮明な写真を撮影するには、このカメラ特性を考慮して設定を行う必要があります。

写真測量用の設定

弊社で実際にテストした限りにおいては、写真測量用の設定は、以下の設定が良いかと思います。構造物点検用撮影も同じです。

  • マニュアル設定
  • マニュアルフォーカス

P1においては、マニュアル設定時は、絞りとシャッタースピードは優先になり、ISOはAutoもしくは固定を選択する事が出来ます。マニュアル設定時のISOのAuto機能は、一般の一眼カメラ(私の知る所ではキャノン、ソニーのみですが・・)にはない機能ですが、写真測量用撮影には便利な機能だと思います。但し、無条件で便利というわけにはいかず、ISOは余り大きくなってしまうとノイズが発生してしまいます。ISOに関しては後述しますが、P1においては最大3200位までかと思います。ちなみに、シャッタースピード優先というモードもありますが、絞りは開いてしまうため、写真測量撮影には不向きです。

DJI Pilotでは、ミッション飛行時は、最初のウェイポイントでオートフォーカスを行うか、無限大で撮影するかを選択する事が出来ます。ケースバイケースで良いかと思いますが、弊社では、確実に行うのであれ無限大で撮影を推奨いたします。

最初のウェイポイントでオートフォーカスは、地形の高低差や高い林がある場合、高度の高い部分に焦点があってしまう可能性があります。またオートフォーカス自体、反射物(池や川などの水面、建物の天井など)があったりすると失敗(焦点が合わない)ケースもまれにあります。基本的には、オートフォーカスしても50m以上離れますと無限大になりますので、最初から無限大の設定で良いかと思います。

ISOの感度とノイズのテスト

実際にISOを上げた時に、どの位のノイズが発生するかをP1にて確認しました。色々試した結果、ノイズが発生した時にわかりやすいのは、白い対象物、暗く撮影した場合になります。DJI様には申し訳ありませんが、あえて厳しい条件で見てみました。ちなみに、下記のテストは、絞りはF11固定、シャッタスピードで明るさを調整し、ISOの各条件で撮影しています。

ISO 写真
800
1600
3200
6400
12800
25600

画像は、コントロールキー+マウスの真ん中ホィールで拡大するとわかりやすくなります。

ホームページ掲載用に解像度を落としているのでJPEG特有のノイズも含まれていますが、基本的には3200程度まではほとんどノイズは気になりませんでした。6400以降からノイズ(表面にざらざら感が出てきます)は目立ちはじめます。

また、写真にはありませんが、ISO25600でほとんど真っ暗な状態で撮影しても赤い斑点のようなノイズも見られませんでした。

P1の設定

弊社でのテスト結果では、カメラ設定は、具体的には以下の値になると思います。

絞り F8~F11

シャッタースピード 1/1000秒@飛行速度5m/s

ISO 最大3200程度まで。

飛行中は、ISOをAutoにした場合、幅はある程度触れるので余裕を持って設定ください。天候は晴れもしくは曇り(明るい曇り)までなら、F11でもISOは1600程度位です。ISOを上げる事に抵抗がある方は、F値をF8~10程度にしてください。レンズには、NDフィルター(暗くなるフィルター)を付けないでください。NDフィルターは、写真測量には必要ありません。通常の動画撮影時に、内部のシャッタースピードを落として動きのある被写体を滑らかにするのに使用します。

飛行速度は余り上げると写真ぶれがでますが、現場の面積が大きく10m/s程度にしたい時は、シャッタースピードは1/2000秒位必要になります。

以上ご参考になれば幸いです。