つい最近のお話になりますが、6月上旬にMavic3E及びPPK Goを納品したお客様から、PPK処理後のMatashapeで測量精度が出ないという報告を受けました。原因の根本はまだわかっていませんが、とりあえず一時原因と対策がわかりましたので、こちらにまとめたいと思います。他にも同じ問題に遭遇しているお客様がいらっしゃるとの事です。
現象としては次の症状でした。PPK処理をした写真をMetashapeに取り込んで処理をすると、以下の状態となります。GCPフリーでの結果ですが、検証点ではXY誤差はそれなり、Z誤差はGCPフリーだとしても大きめという結果です。それよりも、気になるのは、カメラ座標の誤差が良い物は良いが、悪い物は極端に悪い、そしてそれが周期的に発生しているという現象です。(点群ソフトをご存知無い方向けにご説明しますと、カメラ座標の誤差は、JPEG内の座標とMetashapeが推定している座標との差分です。点群ソフトは元々、複数の写真からカメラの位置、向きなどを推定する技術が使われています。また、もし今回GCPを設置していた場合、検証点としては精度が出るので、カメラ誤差に気が付かない人もいるかもしれません。)
ちなみに、DJI製品の場合、D-RTK2を使用している場合は、機体とD-RTK2とのRTK通信部?のハードウエア不良により、精度が悪くなることがあります。しかし、今回はPPK処理なので、それは当てはまりません。
今回は、問題の報告を受けて、お客様のPPK処理方法、Metashapeの処理など、実際にデータを頂き、それらを確認しましたが、特に問題はありませんでした。ソフトではなく機体側の問題の可能性もあるので、弊社のデモ機でも追加の実験を行いましたが、同じ症状が発生しました。
今まで、Mavic3E+PPK GOの組み合わせは、何も問題はありませんでした。問題が発生するようになった環境の差分は、唯一、2024.05.22前後のファームウエアアップデートのみです。また追加実験により、Mavic3Eと同じ日、同じ現場でPhantom4 RTK+PPK Goでの測定も行いましたが、Phantom側は問題ありませんでした。PPK GOのソフトウエアも2022年8月以来、変更がはいっていません。
そのため、DJI様とPPK GO開発元様の双方にこれらの話を伝えたところ、PPK GO開発元様がすぐに対応してくださりました。現象からPPK解析後の写真へのジオタグ付けが上手くいっていないのではないか?と、そしてそれを検証し連絡を頂きました。
それを受けて、弊社でも確認しました。確かに、タグ付け写真とテキストファイルでは、座標が異なっています。
テキストファイルは正しそうなので、Metashapeに読み込ませます。
結果は、きれいな精度が出るようになりました。
根本的な原因をHi-Target社で確認してもらっています。今までは問題はなかった写真へのタグ付けが出来なくなったという事は、どこかのタイミングでXMPの構造がなにかしら変わり、書き込み出来なくなったのかもしれません。
今回、Mavic3E、PPK GO、Metashapeと一式ご購入頂いたお客様なので、原因を特定するために、DJIとPPK、Metashapeの使い方に誤りが無いかなどトータルでサポートすることが出来た為、短時間で解決できたかと思います。
以上です。