点群ソフトの比較とお勧め – Metashape/RealityCapture/DJI Terra –

2024.03.18 RealityCaptureのライセンス形態に変更がありましたので、内容をアップデートしました。

UAV測量やi-construction用、構造物点検を目的とした点群ソフトウエア3選のご紹介になります。写真から点群を生成するお勧めソフトウエアとして、Metashape、RealityCapture、DJI Terraがあります。

初めてこれら点群ソフトウエアを導入する時には、どれを導入すれば良いのか分からないかと思います。各ソフトは、長所、短所があり、予算や用途に応じて選択する必要がありますので、ここにまとめたいと思います。

概要

Metashape、RealityCapture、DJI Terraに関して、価格や機能の比較をまとめてみました。ノードロックの永久ライセンスを前提として比較しました。

Metashape Professional RealityCapture Enterprise DJI Terra
価格(税別) 永久ライセンス。代理店により、日本語マニュアル有無、サポート有無、為替レートで異なるが、55万前後。  2024年3月末に永久ライセンスの販売は終了。4月以降、年間ライセンスのみの販売。価格$1,250。但し、年間収益が100万ドル未満のお客様は無料でライセンスを使用出来ます。Unreal Engineも無料で使用可能。 永久ライセンスと年間ライセンスあり。永久ライセンスは45万前後。
ライセンス ネットワークライセンス ネットワークライセンス ネットワークライセンス
ソフトウエア保守 Ver2.x.xまで無料
(現在、Ver2.1)
永久ライセンスは、Ver1.4リリース後(現在Ver1.3.2)、1年間保守を受けられますが年間ライセンスに切り替える事も可能です。

永久ライセンスは永久に利用し続けることができます。

1年目無料だが、2年目より有料(7万前後)。
ベンダーサポート 有:1年目はライセンスに付属。2年目以降も実質無料対応。言語は英語。 無料ライセンスはサポート無し。 有料ライセンスは、Epic Developer Communityに移行。 保守に入ればサポート有。言語は日本語。
弊社サポート 弊社は蓄積した技術を元にリアルタイムで日本語でサポート。不明点はメーカに確認。 ベンダーの対応がコミュニティ対応となった為、弊社のサポートは、見あわせ。 弊社は蓄積した技術を元にリアルタイムで日本語でサポート。不明点はメーカに確認。
日本語マニュアル 弊社は無料提供(これは代理店により異なるため注意ください)。 弊社は無料提供(これは代理店により異なるため注意ください)。 メーカ提供及び弊社簡易マニュアル有り。
使いやすさ ◎使いやすさと機能のバランスが良い。 〇多彩なoptionがあり、使いこなせば有望なソフトウエアであるが、難易度が少し高い。 ◎i-conに特化している為、無駄な機能がなくシンプル。
オプションなどの自由度
用途 UAV測量、i-construction、構造物点検、植生(NDVI)、考古学、研究用途、宣伝用。 考古学(遺跡保存)、構造物点検、VFX、宣伝用(不動産など)。 UAV測量、i-construction。
対象範囲 i-construction、植生、構造物点検を目的とする人向け。 構造物点検、VFXアーティストなどを目的とする人向け。 i-construction
構造物は不可、理由は次項目を参照。
特徴 他のソフトと比較して、オルソ画像がきれい。オルソの円筒投影、DSMの差分計算など構造物点検や研究用途向けのさまざまな機能がある。 他のソフトと比較して、モデルが精細できれい、メッシュ数の制御やunwrap機能(メッシュに割当てるテクスチャーの最適化)がある。但し、大きなメインメモリとVRAM容量が必要。処理速度も速いのが特徴。 無駄な機能がなく、i-con用には最適。但し、のり面などの斜め撮影のモデリングが生成できない。
ジオイド変換(楕円体高→標高変換) 可能

モデルとジオイドの組込は弊社のみの技術。お問い合わせください。

不可

測量用途として使用する場合は別の手段が必要。

可能
GCPフリー時の精度 GCPフリー時におけるオプションが有り、それが良い仕事(高精度)をします。 〇GCPフリー時における最適化オプション無し 〇GCPフリー時における最適化オプション無し
扱えるフォーマット エクスポート、インポート共に多い。 エクスポートは多いが、インポートは限定的 エクスポート、インポート共に限定的。

Metashape Professional

下図は5眼斜めカメラで撮影したオルソ画像です。Metashapeは、5つのカメラモデルを自動的に認識して処理するためこの5眼カメラと相性抜群です。3つのソフトウエアの中で、オルソ画像はMetashapeが一番きれいです。

AgisoftのMetashape Professionalは、旧PhotoScanの発展ソフトウエアです。古くはセスナ等による航空測量から使用されているソフトウエアで、実績、知名度、シェアナンバー1かと思われます。理由は豊富な機能と手軽さのバランス、性能が優れ、国産ソフトウェアと比較して安価(保守費がかからない)です。

Metashapeは、Version2.0より地上レーザのデータ(e57)に加え、航空LiDARデータ(las)も扱えるようになりました。写真から生成した点群データと地上や航空レーザのデータを結合可能です。マーカを使用しこれらのアラインメント制御を行う事が可能です。

点群専門のソフトウエアのため、バージョンアップは適宜行われ、日々機能が追加そして性能の向上がされています。性能というのは、処理速度の向上、そして表面ディテールの精細さとノイズフィルタリングの最適化となります。現在ではPCの進化もあり3000枚超える処理も1日で可能になりました。また下図多くある点群ソフトウエアの中で一番多くのデータフォーマットに対応しており、後続の点群解析ソフトウエアである建築システムソフトウエア様や福井コンピュータ様などへのデータ移行も問題なく可能です。

UAV測量、構造物点検、植生指数(NDVI)、不動産宣伝用への幅広い用途に使用出来ます。もちろん、DSM、三角メッシュ、オルソモザイクなどのデータ作成も可能です。オルソ画像は、この3社の中ではMetashapeが一番きれいだと思います。

点群ソフトウエアは、購入前に事前にお試し頂き、理解を深めて頂く事を推奨いたします。Metashapeトライアル/基本概念と使用方法

尚、測量用途の場合、RTK搭載ドローンで撮影した写真のXMPに含まれる高度は、楕円体高の為、楕円体高から標高に変換するジオイド変換が必要です。これは、予めジオイドモデルをMetashapeに組込む事でMetashape内で一括処理が可能です。日本固有の座標系が含まれた処理はベンダーではサポート出来ず、また他社でもサポートしていない技術ですので、弊社にお問いあわせください。

RealityCapture

RealityCaptureは、Capturing Reality社にて開発されましたが、EpicGamesと合併いたしました。VFXの領域で更にソフトウエアは発展していく可能性があります。

ライセンス形態は、2024年3月末に永久ライセンスの販売が廃止される連絡があり、4月末以降は年間ライセンスのみになります。

RealityCaptureは、主に三脚型の地上レーザのデータを扱う事ができ(e57は扱えますが、lasは扱えません)、写真から生成した点群データと地上レーザのデータをGCPによって精度良く位置合わせする事が可能です。制御機能やパラメータは多彩です。

本ソフトウエアは、弊社でもUAV測量のデータにて確認し精度的には問題無い事を確認していますが、ジオイド変換(楕円体高から標高への変換)が出来ない為、ドローン測量に最初のソフトウエアとして導入する事はお勧めできません。

私的には、構造物点検、考古学、宣伝用途の建築物や自動車などのエクステリア、インテリア、モックアップなどの3Dモデル作成に用いるのが良いのではないかと思います。今回取り上げた3つのソフトウエアの中では、モデル(メッシュ)の精細さが一番です(但し後述するハードウェアスペックが必要になります)。現にTV局や映像会社、自動車メーカ数社、研究所様からも採用されています。地上レーザデータも使用出来るため、歴史的建造物のデータ保管にも向いています。VFXなど映画やドラマの仮想セットにも良いかと思います。

VFXなど規模が大きくリアルなモデリング(精細なメッシュ)が必要な場合は、メインメモリとグラフィックカードのVRAMが大きいものが必要になりますので、サーバで複数枚刺しのグラフィックカードが必要になります。マシン性能が劣る場合でもメッシュ数の調整は可能です。処理中、メモリを超えるメッシュ数の場合、警告が出ますので処理がスタックすることはありません。また、同じEpicGamesのunrealエンジンでモデルを編集することでよりリアルなモデルを作成できます。VFXの利用例としては映画の背景などが使われています。

操作が複雑なため、専門で常に作業される方、業務に向いています。弊社では、お客様に少しでも操作習得の負担が減るように、また操作の時間が空いて忘れてしまった方の為に、分かりやすい日本語マニュアル(前編・後編)をホームページで公開しております。

RealityCapture処理速度は、他のツールと比較して数倍早いと言われています。少しデータは古いですが、ベンチマークを張っておきます。

DJI Terra

以前使用した時は、不明なエラーが発生し、処理が最後まで通らないなどの問題がありましたが、現在のバージョンでは全く問題がなくなりました。目的がi-constructionのみであれば、機能はシンプルですが、その分わかりやすい操作性で使い勝手が良いと思います。メーカのマニュアルは日本語ですがそれなりにページがあり、理解するまで数日要してしまいますが、他のソフトウエアなどで経験があれば、弊社の簡易マニュアル(目次含めて10ページ程度)が付属しますので、直ぐにモデル作成が出来てしまいます。

DJI Terraは写真から点群を作成し、GCPで補正し点群をエクスポートするのみですので、距離、面積、体積の測定、DEMやオルソ画像の生成、フィリタリング処理などは出来ません。そのため、UAV測量やi-constructionに特化しており、後段のソフトウエアであるトレンドポイント、Site-Techなどのソフトウエアが必要になります。

真俯瞰撮影した写真からの点群データは作成できますが、斜め撮影の写真からは出来ませんので、構造物の点検などには利用できません。

最後に

目的に応じて、点群ソフトウエア、ドローン、ペイロード、地上用LiDARなど含めてご相談頂ければ、最適な選択をアドバイスできるかと思います。高い機材やソフトウエアですので、自己判断で購入しますと、希望する目的に使えなかったという結果になります。

事例:弊社外で地上用LiDARを購入し、弊社でRealityCaptureを購入したけど、地上レーザには座標データが含まれておらず、レーザ点群と写真が再構築出来ないというお客様が複数発生しています。ご注意ください。

お問い合わせは、sales@kuu-satsu.com までご連絡ください。

以上です。

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