点群ソフトの比較とお勧め – Metashape/RealityCapture/DJI Terra –

2023.08.04 最新状況踏まえて記事を修正いたしました。

UAV測量やi-construction用、構造物点検を目的とした点群ソフトウエアのご紹介になります。ドローンで撮影した写真から点群を生成するお勧めソフトウエアとして、Metashape、RealityCapture、DJI Terraがあります。

初めてこれら点群ソフトウエアを導入する時には、どれを導入すれば良いのか分からないかと思います。各ソフトは、長所、短所があり、予算や用途に応じて選択する必要がありますので、ここにまとめたいと思います。

概要

Metashape、RealityCapture、DJI Terraに関して、価格や機能の比較をまとめてみました。ノードロックの永久ライセンスを前提として比較しました。

Metashape Professional RealityCapture Enterprise DJI Terra
価格(税別) 代理店により、日本語マニュアル有無、サポート有無、為替レートで異なるが、50万前後。  37.5万円 45万前後
ライセンス ネットワークライセンス ネットワークライセンス ネットワークライセンス
ソフトウエア保守 Ver2.x.xまで無料
(現在、Ver2.0)
Ver1.x.xまで無料。
(現在、Ver1.2)
1年目無料だが、2年目より有料(7万前後)。
メーカサポート 有:1年目はライセンスに付属。2年目以降も実質無料対応。言語は英語。 有:当面無料サポートとのこと。言語は英語。 保守に入ればサポート有。言語は日本語。
代理店サポート 弊社は蓄積した技術を元にリアルタイムでサポート。不明点はメーカに確認。 弊社は蓄積した技術を元にリアルタイムでサポート。不明点はメーカに確認。 弊社は蓄積した技術を元にリアルタイムでサポート。不明点はメーカに確認。
日本語マニュアル 弊社は無料提供(代理店により異なる)。 弊社は無料提供(代理店により異なる)。 メーカ提供有り
(弊社簡易マニュアル有)
使いやすさ ◎使いやすさと機能のバランスが良い。 〇多彩なoptionがあり、使いこなせば有望なソフトウエアであるが、難易度が少し高い。 ◎i-conに特化している為、無駄な機能がなくシンプル。
オプションなどの自由度
用途 UAV測量、構造物点検、植生(NDVI)、宣伝用 UAV測量、考古学(遺跡保存)、構造物点検、VFX、宣伝用(不動産など) UAV測量、i-construction
対象範囲 i-construction、植生、構造物点検を目的とする人向け。 i-construction、植生、構造物点検、VFXアーティストなどを目的とする人向け。 i-construction
特徴 オルソ画像がきれい 処理速度が速い i-con用には最適。
ジオイド変換 可能 不可 可能
GCPフリー時の精度 ◎GCPフリー時におけるオプションが有り、それが良い仕事をします。 〇GCPフリー時におけるオプション無し 〇GCPフリー時におけるオプション無し

Metashape Professional

下図は5眼斜めカメラで撮影したオルソ画像です。Metashapeは、5つのカメラモデルを自動的に認識して処理するためこの5眼カメラと相性抜群です。

AgisoftのMetashape Professionalは、旧PhotoScanの発展ソフトウエアです。古くはセスナ等による航空測量から使用されているソフトウエアで、実績、知名度、シェアは、ナンバー1かと思われます。理由は機能、性能のバランスが優れ、安価という事もあるかと思います。

Metashapeは、Version2.0より地上レーザのデータ(e57)に加え、航空LiDARデータも扱えるようになりました。写真から生成した点群データと地上や航空レーザのデータを結合可能です。また、マーカし使用し、これらのアラインメントを行う事も可能です。

点群専門のソフトウエアなため、バージョンアップは適宜行われ日々機能が追加、そして性能の向上がされています。性能というのは、処理速度の向上、そして表面ディテールの精細さとノイズフィルタリングの最適化となります。現在では3000枚超える処理も1日でできるようになりました。また多くのデータフォーマットに対応しており、後続の点群解析ソフトウエアである建築システムソフトウエア様や福井コンピュータ様などへのデータ移行も問題なく可能です。

ライセンス価格は、保守も含めてリーズナブルであり、ソフトウエア機能や扱いやすさは、バランスが良いかと思います。UAV測量、構造物点検、植生指数(NDVI)、不動産宣伝用への幅広い用途に使用出来ます。もちろん、DSM、三角メッシュ、オルソモザイクなどのデータ作成も可能です。オルソ画像は、この3社の中ではMetashapeが一番きれいだと思います。

点群ソフトウエアは、購入前に事前にお試し頂き、理解を深めて頂く事を推奨いたします。Metashapeトライアル/基本概念と使用方法

RealityCapture

RealityCaptureは、Capturing Reality社にて開発されましたが、EpicGamesと合併いたしました。UAV測量はもちろん、VFXの領域で更にソフトウエアは発展していく可能性があります。

ライセンス形態は、従量(単位PPI)、永久ライセンスの2種類あります。従量は代理店では取り扱いできずベンダーのオンライン決済のみで、Enterprise(永久ライセンス)のみ弊社で扱えます。一番上位であるEnterpriseライセンスは、従来200万程度の価格がしていましたが、Epic Gamesとの合併により、価格を大きく下げてきました。

機能的には、従量、永久ライセンスのどちらも変わりません。RealityCaptureは、地上レーザのデータ(e57)を扱う事ができ、写真から生成した点群データとレーザのデータをGCPによって精度良く位置合わせする事が可能です。制御機能やパラメータや機能は多彩で、サーバクラスコンピュータと共に使いこなせば最強のソフトウエアと言えます。

本ソフトウエアは、弊社でもUAV測量のデータにて確認しており、精度的には問題無い事を確認しております。GCPの設定、ジオリファレンス、DSM、三角メッシュ、オルソモザイクなどのデータ作成も可能です。但し、ジオイド変換は現時点では出来ません。

私的には、構造物点検、考古学、宣伝用途の建築物や自動車などのエクステリア、インテリア、モックアップなどの3Dモデル作成に用いるのが良いのではないかと思います。現に自動車メーカ数社、研究所様からも採用されています。地上レーザデータも使用出来るため、歴史的建造物のデータ保管にも向いています。VFXなど映画やドラマの仮想セットにも良いかと思います。

VFXなど規模が大きくリアルなモデリング(精細なメッシュ)が必要な場合は、グラフィックカードのVRAMが大きいものが必要になりますので、サーバで複数枚刺しのグラフィックカードが必要になります。また、同じEpicGamesのunrealエンジンにてモデルを編集することでよりリアルなモデルを作成できます。

操作が複雑なため、専門で常に作業される方や業務に向いています。弊社では、お客様に少しでも操作習得の負担が減るように、また操作の時間が空いて忘れてしまった方の為に、分かりやすい日本語マニュアル(前編・後編)をホームページで公開しております。無料サポートも行っております。

RealityCapture処理速度は、他のツールと比較して数倍早いと言われています。少しデータは古いですが、ベンチマークを張っておきます。

DJI Terra

以前使用した時は、不明なエラーが発生し、処理が最後まで通らないなどの問題がありましたが、現在のバージョンでは全く問題がなくなりました。目的がi-constructionのみであれば、機能はシンプルですが、その分わかりやすい操作性で使い勝手が良いと思います。弊社の簡易マニュアル(目次含めて10ページ程度)が付属しますので、直ぐにモデル作成が出来ます。

DJI Terraは写真から点群を作成し、GCPで補正し点群をエクスポートするのみですので、距離、面積、体積の測定、DEMやオルソ画像の生成、フィリタリング処理などは出来ません。そのため、UAV測量やi-constructionに特化しており、後段のソフトウエアであるトレンドポイント、Site-Techなどのソフトウエアが必要になります。

最後に

目的に応じて、点群ソフトウエア、ドローンなども含めてご相談頂ければ、最適な選択をアドバイスできるかと思います。高いソフトウエアですので、自己判断で購入しますと、希望する目的に使えなかったという結果になります。

お問い合わせは、sales@kuu-satsu.com 松浦までご連絡ください。

以上です。

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