Metashape 地上レーザスキャンと航空写真の処理

Metashape Professionalは、2.0より地上レーザスキャンと航空レーザスキャンのデータをインポートすることが出来るようになりました。また、地上レーザスキャンと航空写真をアライメントすることも可能になりました。
Metashape 2.1 での地上波レーザー スキャン処理

今回、後者の動作確認を行ってみました。地上レーザスキャンとしてGreenValley International製のLiGRIPを使用したレーザスキャンデータ(上図)を、航空写真としてMavic3 EnterpriseのPhotogrammetryデータを使用し、処理してみました。

実験1

実験1として、以下の素性のデータを使用します。

  • LiGRIP H120で測定したデータ。現場の仮想基準点によるPPK処理を行い、全ての検証点でXYZ誤差 5cm以内。
    SLAMベースハンドヘルドLiDARスキャナー LiGRIPの測量精度検証 (kuu-satsu.com)で生成したデータ。
  • Mavic3 Enterpriseで上記の同現場、同日に撮影したデータであり、PPK処理済データ。時間の関係上、GCPや検証点設定は行っていないため誤差は未確認ですが、ZYZ誤差 5cm程度と思われるデータ(Z誤差は5cmを超えているかもしれません)。

処理内容

  1. LiGRIPのデータをLiFuseにてlasにエクスポート。座標系はJGD2011、強度の点群をグレー階調で出力。(カラーの方が綺麗ですが、写真の点群と区別しやすくするため)。
  2. Metashapeに上記lasをインポート後、座標系をJGD2011からWGS84に変更。
  3. レーザスキャンは「変換をロック」したまま、Mavic3Eの写真を取り込み、「写真のアラインメント」及び「ポイントクラウド構築」を実施。

これは、簡単に言えば、以下の処理になります。

  • レーザスキャンのデータは、強度の点群をlasとしてエクスポートされたもの
    (RGBはずれが発生する為)
  • Metashapeでは、二つのデータを重ね表示しているだけの処理

結果

下図の上2枚は、レーザスキャンの点群表示をONのまま固定し、写真の点群の表示をON/OFFしています。グレーの点群がレーザスキャン、カラーの点群が写真の点群です。今回のデータでは、レーザスキャンは39,553,282点、写真は7,218,707点の為、どうしてもレーザスキャンの方が強く表示されますが、地上のレーザスキャンの測定外部分が、航空写真により補間されています。

下図は、逆に、同データの写真の点群をONにしたまま、レーザスキャンの点群表示をON/OFFしています。ずれなく重なっているのがわかります。

実験2

次に実験2として、以下のデータ素性を使用します。

  • LiGRIP H120で測定したデータ。現場の仮想基準点によるPPK処理を行い、全ての検証点でXYZ誤差 5cm以内。(実験1と同じ)
  • Mavic3 Enterpriseで上記の同現場、同日に撮影したデータ。RTKを使用せず、GPSのみで撮影したデータ。PPK処理も行っていないため、誤差数m程度のもの。

処理内容

  1. LiGRIPのデータをLiFuseにてlasにエクスポート。座標系はJGD2011、強度の点群をグレー階調で出力。
  2. Metashapeに上記lasをインポート後、座標系をJGD2011からWGS84に変更。
  3. レーザスキャンは「変換をロック」をOFFに変更し、Mavic3Eの写真を取り込み、マーカを使用してレーザスキャンと位置を合わせます。その後、「写真のアラインメント」及び「ポイントクラウド構築」を実施。なお、マーカ指定は、時間の関係上、中心の3つのみ

これは、簡単に言えば、以下の処理になります。

  • レーザスキャンのデータは、強度の点群をlasとしてエクスポートされたもの
    (実験1と同じ)
  • Metashapeでは、レーザスキャンと写真の位置をマーカで指定しアラインメント後、点群を生成。つまり、正確なレーザスキャンのデータを基準にして写真の点群を補正。

結果

下図は、実験1と同様、地上のレーザスキャンの測定外部分が、航空写真により補間されています。

また、GPSのみで撮影した写真ですが、3点とはいえマーカ指定した為、指定した場所及びその近辺は、レーザスキャナーと一致しています。これは、マーカによりレーザスキャンの正確な座標でアラインメントされたと考える事が出来ます。

苦労したことなど

地上レーザスキャンと画像の処理は、いくつかポイントがあります。

  • まずレーザスキャナーと写真は、同じ座標系にする必要があります。今回、レーザスキャナーとして使用したLiGRIPの座標系はJGD2011 13系でしたが、MetashapeにJGD2011としてインポート後、WGS84に座標変換を行い、写真と同じ座標系にする必要があります。
  • また、レーザスキャンの「変換をロック」をOFFにする場合は、かならずマーカを使用する必要があります。マーカを使用しないとレーザスキャナーのデータがおかしくなります(使用するレーザスキャナーの種類により挙動は変わるかもしれません)。このようになった場合、プロジェクトデータを破棄するか、再度レーザスキャナーのデータを取り込むまないと正常に処理ができません。

考察

実験2では、レーザスキャナにより写真を正確に補正とアラインメントすることが出来ましたが、これは言い換えると、写真のRGBをレーザスキャナの点群に貼り付けた(置き換えた)と言う事になります。そのような用途があれば、便利な機能になります。

以上です。

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