RTKを搭載したドローンを使用する場合の注意点

久しぶりの投稿になります。今試作中の大型ドローンの制作、信頼性を上げるために少々苦労しており、そちらにかなり時間を取られています。やはり、エンドユーザ様に販売するからにはきちんと確認をしてからと思っています。(業者様に対しては先行販売を行う予定です)

今回は、遅まきながらRTKを搭載したドローンについて記載いたします。ご参考にして頂ければと思います。RTK(リアルタイム・キネマティック)の詳しい説明はここでは省きますが、その評判をネットを見てみますと、

  • RTKはセンチ単位で制御できる
  • 誤差が少ないので高圧電線の鉄塔の検査、構造物の検査に利用できる
  • フライトコントローラやGPSが複数あるので、金属の構造物や高圧電線の磁気妨害を受けづらい

というような触れ込みになっています。

高圧電線は、前に電力会社様系の方に聞いたところ、ある程度高圧電線の近くに寄ると一気に吸い寄せられるそうです。その距離は2、3mという話だったと思います(間違っていたらすみません)が、人間が吸い寄せられるほどの磁場があるところで、微小な電力で動いている半導体は正常に動作はしません。センサー類に使用しているAD/DAコンバータは、微小な電流や電圧の絶対値をデジタル値に変換して扱います。そのような環境では、正しくコンバート出来ないからです。更にもっと微小な電波で動いているGPSは、その強力な磁場によって消し去られてしまいます。

構造物検査やUAV測量も同様です。GPSは上空から電波を直接受ける必要がありますが、GPS(ドローン)と同じ高さ(あるいは若干低い高さにあっても)に建物などの金属の構造物があると、GPSの電波は乱反射しそれをドローンは受信します。GPSのアンテナが二つ、三つ存在していても、電波そのものが乱反射している状況では、正常な測位は不可能です。RTKは、基準局との位置の違いによる位相差を利用して測位しますから、ドローン側だけ乱反射によってその位置が狂ってしまうと、やはり精度は格段に落ちてしまいます。電波で動いているものですから、電波の障害があるところでは、不利な面が多々発生します。この問題が無ければ、標定点は必要ないという話になりとてもメリットは大きいのですが。

フライトコントローラやGPSが複数あるメリットは、フェールセーフシステム(航空機設計の基本概念で一つ故障しても予備がある事で安全を保てる)による信頼性向上のためであって、外乱(磁場、GPS乱反射)による誤動作をなくすものではありません。

RTKを使用すると標定点がなくとも数センチの精度がでるというのは、ある一定の条件下での話ですので100%全て信頼できるというわけではないのです。電波を使うという原理上、メリット、デメリットがありますので、それを理解しておく必要があります。

以上です。

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