MATRICE300 RTK + Zenmuse P1 測量精度検証 第5回目

結果の最適化を行い、記事を見直ししました。(記:2021.05.16)

オブリークの概要

Zenmuse P1は、オブリークモード(斜め撮影)を使用すると、真俯瞰の写真に加えて斜め撮影も同時に行う事が出来ます。ファントム4 RTKでは、インターバル撮影の最短時間は2秒なので真俯瞰のみですが、Zenmuse P1は最短0.7秒と高速であるため、真俯瞰⇒斜め⇒斜め・・・⇒真俯瞰という撮影が可能になっています。

その動きは非常に複雑で、撮影領域に対して最初と最後のコースの端を飛行する時は、領域内部に対してのみ斜め撮影(シャッター間隔も遅め)となり、コースの真ん中付近では、上下左右の斜めと動作が変わります。X,Yの複合斜め撮影は無いようです。

下図は、Metashapeでのカメラ確度の推定の図です。進行方向側と横側からの図となります。カメラの向きが複雑に変化しているのがわかるかと思います。

進行方向側

横側

オブリークでのオーバラップ検証

撮影条件:OL80% SL60%、地上解像度1.0cm/pix、オプリーク角度設定15度。

Metashapeのレポートより、オーバラップ結果を確認しますと、領域に対して十分なオーバラップが確認できました。設定は、

但し注意点として、地上解像度を確認しますとフライトプラン設定の1.0cm/pixに対してMetashapeの結果は、1.05cm/pixとなりました。真俯瞰モードではきっちりと設定通りの解像度となっていましたので、これは斜めによって距離が伸びた分がレポートには含まれるようです。i-constructionで運用する場合、どう考えるかによってフライトプラン設定時は注意がいるかもしれません。

精度の結果(GCP無し)

斜め撮影は、山口大学様でPhantom4 RTKを使用し、GCPなしで精度を上げる研究がなされていますが、地上解像度2.0cm/pix(ネットで読んだだけですので間違いかもしれません)で良い成果がでているようです。Phantom4 RTKでは、オブリーグのモードはありませんので、一度真俯瞰で撮影し、その後カメラを斜め(斜めの角度は常に固定)にして撮影を行っているようです。

P1は様々な角度を0.7秒間隔で撮影しますので、1度のフライトで終了します。弊社の実験では、地上解像度1.0cm/pix、15度のオプリーグ撮影、GCP設定無しにて、全てのGCP(検証点含む)のRMS誤差は、10cm以下になりました。これは一回実験を行ったのみの結果です。パラメータなどを変更して複数の飛行を行った結果ではありません。

<Zenmuse P1:ネットワークRTK、GCP無し、オプリークモード>

本実験では、余り複数の斜めがありますと、精度が出づらい傾向にあるようですので、以下の対策を行っています。

  • カメラ座標は、ピッチ方向斜めは採用せず、ロール方向斜めのみの座標と、鉛直方向の座標を有効。
  • 上記にて最適化を一度実行後、Metashapeが推定しているカメラ座標の誤差が1cm以上の座標を無効(画像としては全て採用)。
  • カメラキャリブレーション推定はAutoであり、事前にGCPを使用し得られたカメラパラメータ推定値は使用せず(これを使用したら実験の意味がありませんので)。

尚、オプリーグモードは本来測量用の撮影モードではありませんし、本実験結果は山口大学様の方法とは、地上解像度、写真枚数、オーバラップは大きく異なりますのでご承知おきください。

今後時間があれば、弊社でも実験したいと思いますが、GCP無しでもお手軽に良好な結果が出るのであれば、P1はかなり広大なエリアを撮影出来ますし、地面の高低差を気にせずに飛行させる事が出来ます。

最後に

GCP無しで精度を上げる手法は、長年学者様が研究されてきたカメラパラメータの推定性能をどのように高めていくかの話です。本結果は、Zenmuse P1の性能の問題ではない事を明記しておきます。第1回~第4回までの内容で、同条件にてファントム4RTKと比較しても良い結果となりましたので、そちらをご参照ください。写真測量は、ほぼレンズの歪=誤差ですので、レンズが良いものほど精度は良くなります。

Metashapeとの関連含め、DJI製品のサポートもトータルで可能ですので、お問い合わせください。弊社のお客様には、全力でサポートしています。

MATRICE300 RTKの詳細・お問い合わせ

MATRICE300 RTK UAV測量設定マニュアル

以上です。

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