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レーザスキャナー(Zenmuse L1)の性能・精度・ノウハウ 第2回

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*国総研に確認がとれましたので、記事を更新しました。(2022.7.30)

大変遅くなりましたが、第2回目の報告となります。DJI ZenmuseL1を使用し、道内の建築会社様と共同でレーザの性能や精度を確認してみました。

目的は、まずはフェーズ1としてXYZ±10cm精度を達成するための計測方法の確立です。フェーズ1にも、ステップ1として比較的平らな地面での確認、ステップ2として傾斜地、草木がある場所での確認の2段階に分けていますが、今回はステップ1としての報告です。一部の紹介となります。

検証時の使用機材・条件

  • ハードウエア DJI Zenmuse L1 + DRTK2
    • Pilot APP v2.4.1.7(最新はV4.0です)
  • ソフトウエア
    • DJI Terra:lasのエクスポート
    • GreenVallery International LiDAR360:後処理用(ボア及び軌道などのストリップ調整)
    • 福井コンピュータTREND-POINT:検証用
  1. 固定局として現場にDRTK2を設置
  2. 基準座標は、VRS測定(i-constructionではTS測定を規定)
  3. 天候晴れ、風弱、気温20度程度

関連パラメータの洗い出し

L1の精度を検証するうえで、精度に影響しそうなパラメータを以下にまとめてみました。

項目 説明
Payload Echo Mode レーザのリターン数を選択する項目。
・シングルリターン
・デュアル
・トリプル
Lidar Sample Rate 点群の取得幅。Step1は最大値固定、Step2で振る予定(理由は地面のみの対象には必要ないと判断)。
シングル:60、120、180、240KHz
デュアル:60、120、180、240KHz
トリプル:60、120、160Hz
Scan Mode スキャンモードを選択する項目。
・Repeat
・Non-repeat
Mappingツール 高度 Point Cloud Densityと連動。
速度 1~10m/s(ちなみに、最新のVer.4.0は1~3.9m/S)
Sidelap 側部のオーバラップ
oblique 評価対象外。
DJI Terra 最適化 評価対象外(どのような処理をおこなっているか不明なため)

検証項目

これらのパラメータから検証項目を以下のように抽出しました。L1としては9項目、比較対象としてP1も入れました。(この報告では、以後P1は省きます)

検証項目 Payload Echo Mode Scan Mode 高度 速度 Sidelap oblique Sample Rate 備考
1 P1 Zenmuse P1 (要基準点、検証点) GSD 1.0cm/pix
2 L1 Triple Repeat 30m 5m/s 50% 160Hz
3 L1 Triple Repeat 50m 5m/s 50% 160Hz Typ.
4 L1 Triple Repeat 70m 5m/s 50% 160Hz
5 L1 Triple Repeat 50m 5m/s 30% 160Hz
6 L1 Triple Repeat 50m 5m/s 70% 160Hz
7 L1 Triple Non-repeat 50m 5m/s 50% 160Hz
8 L1 Single Repeat 50m 5m/s 50% 160Hz
9 L1 Triple Repeat 50m 3m/s 50% 160Hz
10 L1 Triple Repeat 50m 7m/s 50% 160Hz

L1の個体差

L1の個体差を確認するため、建築会社様の機材でも、基本項目による結果比較を行いました。

検証
項目
Payload Echo Mode Scan Mode 高度 速度 Sidelap oblique Sample
Rate
備考
2 L1 Triple Repeat 30m 5m/s 50% 160Hz
3 L1 Triple Repeat 50m 5m/s 50% 160Hz Typ.
6 L1 Triple Repeat 50m 5m/s 70% 160Hz

測定現場とGCP

測定現場には、基準点を水平調整用と高度調整用をそれぞれ3隅と中心に配置、高度調整用のみ4隅配置しました。

精度の結果

結果は、一部のみ記載します。結論としては、今回の条件では、XYZ±10cmは、高度50m、速度5m/s以下であれば達成可能となりました。下表に示す通り、L1の個体差もみられますが、特に大きな違いは見受けられませんでした。

検証項目 Pay
load
Echo Mode Scan Mode 高度 速度 Side
lap
弊社 L1
X/Y/Z(mm)
GCP全ての振幅
H建設様 L1
X/Y/Z(mm)
GCP全ての振幅
2 L1 Triple Repeat 30m 5m/s 50% -64~-36/-46~
-28/-15~+9
-3~+11/-75~
-59/-25~+1
3 L1 Triple Repeat 50m 5m/s 50% -34~+1/-83~
-38/-22~+10
-28~+7/-81~
-69/-21~+12
6 L1 Triple Repeat 50m 5m/s 70% -32~-2/-76~
-40/-2~+16
-56~-2/-77~
-34/-15~+8

レーザスキャナーは、通常の写真測量とは大きく違い、次に示す考慮すべき事項があります。これらを実際に経験、検討していくことで多くのノウハウが蓄積しました。一部をご紹介します。

考慮すべき内容(1)精度確認方法

基準点配置に関するルール

3次元計測技術を用いた出来形管理要領(令和4年3月版)より抜粋

  • 標高調整用基準点は、平坦で明瞭な地点を選定し計測点密度と同一半径の円又はおおむね2倍の辺長の正方形で作成した標識を水平に設置する。
  • 水平調整用基準点は、地上から突出した直方体、球体、板、などの任意の形状で、水平位置(真値及び計測結果)が特定できるものを設置する。標識の大きさはLSの性能に留意して決定すること。
  • x y z 座標が特定できる物(既存の構造物の角など、既存の明瞭な地物で、計測点群データから x y z 座標が特定できるもの)を用いることで、標高調整用基準点・検証点と水平調整用基準点・検証点を兼ねる事 が出来る。

精度確認に関するルール

3次元計測技術を用いた出来形管理要領(令和4年3月版)より抜粋

5)で作成した計測点群データ上の検証点の座標と、上記 2 )により計測した検証点の座標
を比較し、xyz座標 それぞれ ±50mm 以内であることを確認する。

基準点の点群

実際に計測した基準点の見え方を、下図に示します。左側が地面に直接設置したもの、右側が三脚の上に固定したものです。点群中のGL1-4やL1-4は、基準点座標の位置を表示(真値を測定したのは中心)。

条件2

条件3

条件4

実際の精度確認において、i-constructionのルールや検証に使用したソフトの仕様にいくつか疑問があり、ベンダー様にソフトの仕様を確認後、国総研様に精度確認方法を確認しました。国総研様から以下の回答を得ました。

水平調整用に関しては、RGB表示が可能なレーザスキャナーにおいて、中心を特定できる場合は、以下の様に補助線を引いて、真値を測った位置を特定すべきとのことです。設置した対空標識は600mm×600mmであるため、例として下図のような補助線で明確にします。

このRGBで中心を特定する方法は、L1においては、条件3(高度50m)程度までが限界であり、条件4(高度70m)では、形状が不鮮明となり精度計測が困難であることがわかります。また、弊社対空標識を用いた場合、地面に直接設置と三脚上設置では、対空標識の形状によって、それぞれの鮮明度に差が出ます。なお、RGB表示により水平位置を特定できない場合は、立体的な形状の物を用い、水平位置を特定できるようにする必要があります。

標高調整用に関しては、点群データの平均標高を計算する必要があります。理由は、レーザパルスは、放射した瞬間から広がりながら進んでいく特性があるため、標高調整用基準点に到達した際に、高さ(Z座標)への影響が生じてしまいます。

考慮すべき内容(2) レーザスキャナーの誤差原因

3次元計測技術を用いた出来形管理要領(令和4年3月版)より抜粋

UAVレーザーによる計測は、GNSS、IMU、LSの組み合わせによる3次元データ計測
となるため、複合的な要因により 測定 精度が決まる。GNSSの性能は、衛星の捕捉状況、機体のノイズ成分の影響により精度が低下する恐れがある。IMUの性能はレーザー発射時の姿勢角に影響し、レーザー計測データ端部の精度低下の原因となる。ロール、ピッチ成分は主に標高精度に影響し、ヘディング成分は、水平精度に影響する。また、LSは、ビームの拡散角の大きさが測距精度に影響する。このような精度低下の要因に留意した上で計測計画の立案することが重要となる。

実際にレーザスキャナーにて測定すると、下図のように地面の断面がずれて重なる現象が生じます。これは、ハードウエアだけでは、上記のメカニズムにより必ず発生する現象です。

LiDAR360を使用し、軌跡毎の点群の解析を行うと、下図の通りに、3つの軌道に対する点群が重なっているのがわかります。これらがずれていることで、上図のように3つ重なります。

構造物や自動車に関しても同様で、LiDAR360で軌跡毎の点群を解析をすると、青の点群に対して、水色の点群が大きくずれているのがわかります。

LiDAR360による後処理

LiDAR360を使用し、ストリップ調整を行うことで、それぞれの点群を補正し、薄い一つの層にすることが出来ます(地表の平均化処理は行っていません)。

<事例1>

<事例2>

まとめ

今回の共同検証により、高度50m以下、速度5m/S以下では、 XYZ ±100mm以内の精度を達成出来ることを確認できました。フェーズ1のSTEP1完了です。今後はSTEP2に移行します。

ボアや軌道による点群のずれは、ハードウエア及び計測時の設定だけでは補正できないため、LiDAR360にて後処理を行う必要があります。今回、そのソフトウエア(LiDAR360)の検証も出来ました。

今回、i-constructionを鑑みてレーザスキャナーの測定を行いましたが、様々な憂慮すべき事項がありましたが、ここでは、上記2つのみの紹介とさせて頂きました。

以上です。

LiDAR360の詳細

DJI製品の詳細