UAV測量講座 Photoscan処理に必要なパソコンの性能と設定

Photoscanに必要なパソコンの性能は?

マニュアルを販売しているというのもあり、使用方法に関して質問が来ることがあります。バッチ処理が終わらない、精度が時と場合によって出ないという事があるようです。よくよく話をしますと、結構基本的な所に問題があるようです。本日は、よくあるご質問の中から一つをご紹介したいと思います。

GPUが処理速度を決める

GPUとは、Graphics Processing Unit(画像処理装置)の略ですが、通常PCにはオンボードと呼ばれるマザーボードに最初から搭載されている物と、個別にグラフィックチップ(あるいはグラフィックボード)を搭載している物の2種類あります。前者は最低限の性能、後者は値段によりピンからキリまでの性能となります。いわゆるゲーミングマシンと呼ばれるものはこの後者の性能の良いものとなります。(ゲームが一番PCの性能を要求します)

既にPhtoscanを業務で使用している方でも、CPUやメモリは最新スペックでも、GPUはオンボードの物という方がいらっしゃいます。

ご存知のように、Photoscanは画像データを大量に処理するため、CPUよりもGPUの性能が処理速度を支配します。少し内部の動きを簡略的に説明しますと、CPU処理というのは、内部ではプログラムをメモリーから読み込み、そのプログラム内容をデコード(解釈)し、そして初めて実際の画像処理を行います。処理の過程においては、CPUの演算結果を一度メモリに退避し、次の演算結果が出たらまたメモリから先ほどのデータを戻して両者を演算、という具合にデータが行ったり来たりします。

対して、GPUは決まった処理はハードウエアで構成されていますので、そのまま画像処理を左から右に流れるように処理を行っていきます。プログラムやデータをメモリから逐次読み込み/保存する必要はないため、非常に高速なのです。また、その間CPUは別の処理を行う事が出来ますので、より全体の処理が速くなります。

しかしながら、GPUはかなりざっくり言うとハードウエアで構成されている関係上、柔軟性が無いのが欠点でして、Photoscanのようなソフトウエアに対応できるGPUの種類には制限があります。現時点(2017.12.22)Photoscan Ver.1.3台で推奨されているグラフィックボード(GPUが搭載されたボード)は、以下の通りです。

NVIDIA:Quadroシリーズ、GeForceシリーズ
AMD:FirePro W9100、Radeonシリーズ

Quadoroシリーズは、最新ボードですが、何十万と非常に高価なため、今はGeforce GTX960当たりがネット価格で3万前後とお買い得です。GTX980 Tiになるとピンキリはありますが、6万~12万とまだまだ高価です。常に最新ボードを購入できる資金があればよいですが、2年もするとお手頃価格になりますので、デスクトップPCの場合は、手ごろな値段のグラフィックボードだけを1~2年サイクル位で交換したほうが長期的な平均性能と、性能に対するコストがよいと思います。

ボードを差し替えるにあたって、今のインタフェースはPCIExpが主流ですので、お使いのPCが対応しているかを確認する必要があります。PCに詳しくない方にはおすすめできません。

メモリが処理規模を決める

CPUは、GPUがしっかりしていれば、インテルi5でも問題ありませんが、今はi7がお安くなりましたのでi7シリーズを、そしてメモリ(RAM)は32GByteあればまずは十分かと思います。

Photoscanのマニュアル(Ver.1.3)では、メモリ(RAM)容量と処理できる写真枚数は、以下のように記載されています。
・4GByteRAM:1000万画素写真 30~50枚
・16GByteRAM:1000万画素写真 300~400枚

今時のカメラは、2000万画素以上ありますので、500枚程度無理なく行うとすると、32GByteRAM程度必要な所だと思います。

もしこれからPCを購入する場合は、次の点を考慮してください。
通常、デスクトップのマザーボードにはメモリは4スロットあります。トータル容量が32GByteの場合、8GByte×4スロット構成よりも、16GByte×2スロット構成が望ましいです。将来、64GByteへ拡張する場合、16GByteをもう2枚買えば最小限のコストですみます。また、メモリは2スロットずつ使う事で、デュアルチャネルに対応しているメモリであればデータ処理を高速化する事が出来ます。

尚、Windowsは32bitと64bitの2種類ありますが、64bitを選択必須です。32bit Windowsは、メモリ上限が4GByteまでになります。

PCは何を購入したらよいのか?

PCに詳しい方であれば、上述を考慮して、個別にパーツを購入し自作することも出来ます。が、個別に購入しても結構割高になってしまいます。かといってメーカ品は、GPUの選択やメモリ構成を指定できません。そこで、以下のエントリーモデルが、カスタム性があり、性能とコストのバランスが非常に良いです。

価格は2018.6.8時点のものです。仮想通貨の影響によりGPUの価格が高騰しているためか、2017年12月頃よりもミドルエンドデスクトップで2万、ハイエンドデスクトップで4万ほど値上がりしています。記載内容は正確を期していますが、仕様、価格は変わっていきますので、リンク先をご確認ください。在庫切れの物もあるようですので、購入計画がある場合は早めに動かれる方が良いです。

デスクトップPC ミドルエンド
¥167,980(税別)  CPU:i7-8700K メモリ:16GB GeForce GTX1060

この標準構成に対して、自由に構成を変更できます。プラス2.6万円で、32GB DDR4 SDRAM(PC4-21300/16GBx2/2チャネル)のメモリに交換可能です。将来、64GBメモリの拡張も安価で可能です。このクラスがあれば、ほとんどのUAV測量の処理も十分でしょう。予算20万前後位で収まるはずです。

デスクトップPC ハイエンド(最高峰)
¥579,980(税別) CPU:i9-7920K メモリ:32GB GeForce GTX1080

プラス4万円でメモリをトータル64GBに、プラス12万で128GBに交換可能です。100ha超の大規模処理を行うのであれば、必要かもしれません。しかしながら、PCに50万ものお金をかけるのは、少し疑問です。大規模な処理を高い性能のPCで処理したとしても、そのデータを使う側(そのお客様)のPCの性能が低ければ、結果のデータを開くのも、扱うのも大変になります。特殊な要求が無い限り、規模が大きいのは、適度に分割したほうが扱いやすいです。

ノートPC ミドルエンド
15.6型ディスプレイ ¥149,980(税別)CPU:i7-7700HQ メモリ:8GB GeForce GTX1060

プラス約2.5万円で、メモリトータル32GBに変更出来ます。バランスに優れたミドルエンドノートPCです。17.3型ディスプレイもあります。ちょっとしたデスクトップに引けを取らない性能です。メモリは32GBがMaxですが、このクラスがあれば、出張先でも大抵のUAV測量の処理は行えるかと思います。

欠点としては、ノートPCとしてはメーカ製と比較すると少し厚みがありますが、熱対策として必要な内部容積を確保しているためであり、デスクトップPCに匹敵する性能ですからやむ得ない所だと思います。

ノートPC ハイエンド
15.6型ディスプレイ  ¥279,980(税別)CPU:i7-7700HQ メモリ:16GB GeForce GTX1080

プラス約1.7万円で、メモリトータル32GBに変更出来ます。性能にこだわるのであれば、このノートPCが最強だと思います。

上記シリーズは私も使用していますが、高負荷時はもちろん通常使用時においても安定性があり、落ちるという事はありません。ご参考まで。

GPU性能を生かすための設定

Photoscanのメニューで、以下のように『ツール』から『プリファレンス』をクリックします。

『OpenCL』タブをクリックします。Photoscanがグラフィックボードを認識していれば、図のようにその名称が表示されます。下図の例では、GeForce GTX960(8Core・・・)と表示されています。

それから、少し見にくいですが、メニューの下の方に、『使用するGPUコアの数だけCPUコアを無効にしてください』とありますので、この例では『稼働CPUコア数』はゼロにしています。これで、GPUがフルに働いてもらえますし、CPUコア数はゼロにしていますので、別の処理を並行して動く事が出来ます。

ちなみに、Photoscanのマニュアルでは、以下のように記載されています。弊社日本語マニュアルから引用。

— ここから —
GPUタブでは、プログラムによって検出されたすべてのGPUデバイスがチェックされていることを確認する必要があります。PhotoScanはGPUの処理能力を利用してプロセスを大幅に高速化します。 ただし、Agisoftは、重い負荷のもとで不安定な作業が発生する可能性があるため、内蔵グラフィックカードアダプタの使用を推奨していません。 PhotoScanでデータ処理を強化するためにGPUをオンにした場合は、全体の制御およびリソース管理タスクのために、アクティブなGPUごとに1つの物理CPUコアを解放することをお勧めします。
— ここまで —

文中の『内蔵グラフィックカードアダプタの使用を推奨していません』というのは、前述した『オンボード』の事を言っています。きちんとしたグラフィックボードを使用してくださいという事です。

以上です。

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