LiDAR 調整点を使用した点群の精度確認と調整

#LiDAR360購入者様限定でしたが、一般にオープンすることに致しました。(2024.06.03)

UAV搭載型レーザスキャナを用いた公共測量マニュアル(案)を確認しますと、調整点という言葉が出てきます。

公共測量マニュアルの定義としては、「調整点」とは、「オリジナルデータの水平位置及び標高の精度を確認及び調整するための基準となる点のことをいう。」とあります。

この調整点とは何か? LiDARの点群を調整できる? どのように? なぜ調整点は必要なの? データを動かしてもよいの?など、背景や考え方までマニュアルに記載されていない為、多くの方が???付でなんだかわからないけど調整出来る…と思っている方が多いと思います。LiDAR360の機能と合わせてここにまとめたいと思います。

最初に、考え方からご説明いたします。

弊社の下記リンクの「ボアサイトキャリブレーションとストリップアラインメントの仕組み」にて、LiDAR製品の構造上原理から生じる誤差をまとめています。LiDAR360ソフトエアは、この誤差を幾何学的に補正しています。

LiDARの構造上発生する誤差要因に関してまとめるとともに、LiDAR360のもつ後処理の内容を解説します。(弊社リファレンスマニュアルから...

この後処理を行うと結果として、調整点や検証点と整合が取れる方向に補正されます。特にZ方向の厚みが薄くなり検証点付近の点群に集約されているはずです。弊社での検証は、下記をご確認ください。

内容を更新しました。(2024.03.18) 「LiDARの原理的誤差に対するLiDAR360の後処理性能」と題して、「レーザスキャナ...

RTKを使用した航空測量用のLiDARで取得した点群に関しては、写真から生成する点群のようにGCPを指定してアラインメントで誤差を修正(調整)するという事は出来ません。写真の場合は、写真の中心に正確なRTK座標が紐づき、中心から周囲に離れるにしたがってレンズの歪み誤差が生じます。これはレンズを使用するカメラの構造的原理に基づく誤差です。しかし、LiDARは発射したレーザが反射して戻ってきたものを点群とします。LiDARの構造原理による誤差は、カメラとは大きく原理が違います。したがって、写真のようにGCPを使って誤差を補正することは出来ません。(一部のSRAM方式のLiDARはGCPで補正出来るものがありますが、それは航空用LiDARとは処理方法の原理が違います。)

公共測量マニュアルや3次元計測技術を用いた出来形管理要領は、現在のLiDAR製品とは大きく技術がかけ離れた古い基準となっています。昔はRTKはLiDARに装備されておらず、GPSのみで精度が出なかった為、調整点を使って全体を無理やり?シフトしていたと、マニュアルの内容から私は理解しています。理由は、GPSは絶対的な精度は出ませんが、相対的な誤差は比較的小さい為、その相対的な誤差を確認・証明し、それが問題無ければ調整点を使ってその絶対的な誤差を一律オフセット補正する考え方となっていると認識しています。そのように考えるとマニュアルに記載されている内容に辻褄があいます。

  • 公共測量マニュアルでは、「第5章 【作業機関向け】UAV レーザ測量のオリジナルデータの点検」に説明されているように、調整点や検証点を使用し、点検と必要であれば調整を行う事が出来ます。
  • 3次元計測技術を用いた出来形管理要領では、「1-5-3 計測性能及び精度管理」に説明されているように、計測性能及び精度管理(往路、復路での相対差の確認)によってそれを担保し、更に調整用基準点 、検証点 の設置が出来ます。

現在のLiDAR製品はそのような力づくで行わなくとも5cm以内に入る様になってきている為、そのようなシフトは基本必要なくなってきています。

しかしながら、RTKには基準点から離れれば離れるほど、現場基準点と一律のオフセット誤差が生じます。また、おなじ場所でも日によってオフセット誤差が違います。D-RTK2と調整点とも誤差が出ます。このオフセットは、LiDAR360のボアキャリブレーションスコープ外ですので、この処理では補正できません。各調整点に置いてX,Y方向に一律のオフセットが付いている事が確認出来る場合は、各検証点を確認の上でLiDAR360、トレンドポイント、CADなどを使用して修正ください。

一律オフセットのデータシフトは、LiDAR360 点群データをシフトするには を参照してください。

#この調整点の背景や考え方は、私が勝手に理解している内容ですので、あくまでもご参考としてください。

以上です。

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