本説明は、Agisoft Lends(Ver1.40以前のもの)の説明となります。Ver1.41以降はAgisoft Lendsは、PhotoScan本体プログラムに組み込まれました。「ツール」メニューの「レンズ」にて使用できます。詳細は、Photoscan日本語マニュアルに記載しています。
正しいキャリブレーションは、カメラの設定はマニュアル設定で行う事が求められます。写真測量等の講習を受講されていない方は、ほぼ全員間違った方法でキャリブレーションを行ってしまいます。基本を理解するためにも「UAV測量トレーニングノート」をご利用ください。
本記事で記載する内容は、ソフトウエアの使い方のみの内容であり、正しい写真測量を行う場合の注意点・ノウハウは記載しておりません。ご注意ください。
2019.05.13追記
液晶画面を対象としたキャリブレーションはやりづらいというお話を受け、この度キャリブレーションに最適なキャリブレーションパターンシートを販売する事になりました。
概要
PhotoScanは写真を読み込み、点群処理をする事で自動的に歪補正が行われるようですが、より精度の高い歪補正を行うためには、Agisoft Lendsという付属のソフトウエアでキャリブレーションを行う事が出来ます。
この付属ソフトウエアを使用したキャリブレーションは、英語マニュアルには一切書かれていないので、存在自体を知らない方もおられるかもしれません。今回は、このキャリブレーション方法に関して解説します。
Agisoft Lensは、液晶画面をキャリブレーション対象とします。 キャリブレーションパラメータは、他のカメラキャリブレーションデータを必要とするソフトウェアのために、テキスト形式で保存することができます。
キャリブレーション用パターンのキャプチャー
- 『Tools』 メニューから『Show chessboard』 を選択、あるいはツールズバーのボタンを押し、キャリブレーションパターンを表示します。
- 表示されたキャリブレーションパターンを任意の焦点距離でわずかに異なる角度からカメラで撮影します。ソフトウェア仕様としての最低写真枚数は3枚です。
(通常は、上下、左右、正面の5枚あると良いでしょう) - ズームレンズをキャリブレーションする場合は、レンズの焦点距離を変更します。
- キャリブレーションパターンの任意の場所をクリックするか、Escキーを押してプログラムに戻ります。
- キャプチャーした写真をコンピュータにアップロードします。
写真の読み込み
- 『Tools』メニューから『Add Photos…』 を選択するか、ツールバーの ボタンを押します。
- 『Add Photos』ダイアログボックスで、写真を含むフォルダを参照し処理するファイルを選択します。 次に『開く』ボタンをクリックします。
- 選択した写真が『Photos』パネルに表示されます。
キャリブレーション実施
- 『Tools』メニューの『Calibrate…』コマンドを選択します。
- 『Calibration』ダイアログボックスで、必要なキャリブレーションパラメータを選択します。 完了したら『OK』ボタンをクリックします。
- 現在の処理状況を示す進捗ダイアログボックスが表示されます。処理をキャンセルするには、『Cancel』ボタンをクリックします。
- キャリブレーション結果がレポートウィンドウに表示されます。
次のキャリブレーションパラメータはキャリブレーション中に推定され、レポートウィンドウに表示されます。
- fx – ピクセル単位の水平焦点距離
- fy – ピクセル単位の垂直焦点距離
- cx – 主点のX座標
- cy – 主点のY座標
- K1, K2, K3, P1, P2 – ブラウンのモデルにおける放射状のレンズ歪み
キャリブレーションが終了すると、次の情報を確認できます。
(1)レポートウィンドウに、推定キャリブレーションパラメータとそのエラーが表示されます。 半径方向および接線方向の歪みのプロットも表示されます。 ズームレンズの場合、これらのパラメータは焦点距離ごとに別々に推定されます。 EXIF焦点距離リストを使用して表示する測定値を選択できます。
(2)『Photos』パネルで任意の写真をダブルクリックすると、チェスボードのコーナーが表示されます。コーナーの大部分が正しく検出されるのが良好です。検出された各コーナーと計算されたキャリブレーション推定位置間の再投影誤差も表示されます 。エラーは、表示のため20倍にスケーリングされてます。
キャリブレーションパラメータ
- センター主点
有効にすると、主点の座標は写真の中央に設定され、キャリブレーション時には最適化されません。 - 正方形のピクセル
有効にすると、XとYの焦点距離は最適化時に同じ値に設定されます。 - 歪みモデル
推定する歪み係数を選択します。 他の歪み係数はゼロに設定され、最適化から除外されます。
キャリブレーションパラメータの変換
外部ソフトウェアパッケージは、キャリブレーション結果のカメラモデルおよびパラメータセットを使用します。agisoft Lensは、CalCam、PhotoModeler、iWitnessのソフトウェアパッケージを使用して取得したキャリブレーションデータの読み込みをサポートしています。
外部ソフトウェアからの読み込み
- 『Tools』メニューの『Convert』コマンドを選択します。
- 『Convert』ダイアログボックスで、変換するキャリブレーションのタイプを選択します。 画像の寸法をピクセル単位で入力し、リスト内のすべてのパラメータの値を入力します。
- 完了したら[OK]ボタンをクリックします。キャリブレーションが変換され、キャリブレーションパラメータが『Report』ウィンドウに表示されます。
CalCamのキャリブレーションパラメータは、『Convert』ダイアログの『Import』ボタンを使用して.calファイルから自動的にインポートできます。
以上です。