SHARE SLAM S20の機能と性能の検証

SHAREよりハンドヘルド型地上LiDARスキャナー 「SHAREUAV LTD SLAM S20」のデモ機を入手出来ましたので使用レビューしてみました。

概要

S20はS10のモデルチェンジ版となりますが、性能の向上はもちろん、S10でかなり減価償却が進んだとのことで大幅に価格を下げて登場しました。価格は公表出来ませんが、この性能でこの価格は、おそらく、ハンドヘルド型地上LiDARスキャナー の中ではコストパフォーマンスが一番高いのではないかと思われます。価格に関してはお問合せください。

S20は、スマホなどでS20の操作や点群の取得状況をリアルタイムで見ながら測定出来ます。

機能や性能に関しては、S10からの変更点として、カメラの画素数の向上(1200万画素→1600万画素)や機械式シャッターへの変更、LiDAR測定中におけるRGB用カメラのシャッターインターバルの最小設定が0.5秒まで設定できるようになり、LiDAR測定とは別に、測定中に写真撮影された生の画像を取り出して点群ソフトウエアで3Dモデルを生成することが出来ます。これは、S10でも写真は取り出せましたが、正直ハンドヘルドスキャナーはRGB用として最低限の写真があれば良いので、5~6分測定したとしても写真としてあるのは10数枚程度でした(変化点のみしか撮影されなかったようです)。これではオーバラップが全然ないため点群は生成出来ませんでしたが、S20はPhotogrammetryとしても十分使えるカメラ機能も装備してきました。これに関しては、今回のレポートには間に合わなかった為、また別途ご紹介いたします。

また、LiDARデータの前処理ソフトウエアであるPoint Cloud Studioもバージョンアップされ、日本のJGD2011座標系が使用出来る様になりました。

精度の確認

下図は、RTKで測定した全体のデータになります。公園出入口アスファルト部、角の①と②の2点について、誤差を測定してみました。

検証点の座標をトレンドポイントに持っていき、計測。表示は、境界をわかりやすくするため、受光表示かつ、色を変更しています。

誤差は、5cm以内に納まる事を確認出来ました。単位mです。

点名 検証点 計測値 誤差
X Y Z(標高) X Y Z(標高) X Y Z(標高)
1 -69454.301 -107879.996 58.078 -69454.333 -107880.024 58.11 0.032 0.028 -0.032
2 -69456.901 -107907.035 58.185 -69456.933 -107907.018 58.193 0.032 -0.017 -0.008

ちなみに、S20では、色なしでlasをエクスポートすることも出来ます。トレンドポイントでRGB表示すると、下図ようなイメージになります。私はこちらの方が好きです。

GPS受信感度の向上

S20は、S10よりGPSの受信感度が上がっており、森林の中でもRTKでの測定が出来るくらい感度が良くなっています。当然、上空の樹冠の状態によりRTKの状態は変わり、断続的に切れたりするなど不安定であり精度は落ちるとは思いますが、それでも森林においてはきちんとしたSLAMによる点群が生成されることは確認出来ました。精度はどの位になっているかは不明ですが、データが座標値を持つのは何かと便利です。

上空は上図の状態でも、下図のようにRTKはFixとなるのは、すばらしい!。

LASの互換性の確認の上でも、Metashapeに取り込んでアニメーション機能で動画を作成してみました。

Point Cloud Captureの使用感

Point Cloud Captureは、スマホなどにインストールしてS20を操作するためのアプリです。リアルタイムで点群の取得状況を確認出来ます。RTKを使用する場合は、スマホ側に4G機能が必要になりますので注意してください。設定は、基本的にはRTK情報のみとなります。一度設定しておけば、Wi-Fi接続なども記憶してくれるため、現場では何も気にしないで楽に操作できます。

なお、コントロールポジションを利用する場合は、基準のところにS20の土台の十字を合わせて置き、レジスターボタンを押す事で登録されます。コントロールポジションの数の分それを実施します。

Point Cloud Studioの使いやすさ

Point Cloud Studioは、LDARの生データをビジュアル化、ジオリファレンス、LASエクスポートします。基本的な操作は、以下になります。非常に操作はシンプルなため、マニュアルは必要無い位です。
(とはいえ、ポイントとなる部分はあるので、リファレンスマニュアルにまとめ中です。)

  1. データの読み込みと、アウトプット先の指定
  2. RTK補正もしくは、コントロールポジション補正を選択、座標系の設定
  3. 処理

ちなみに、コントロールポジションはcsvで座標を読み込む事が出来ます。また、LASは、自動的に、色付けされたものと、色なしの二つが生成されます。

以上です。

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