お菓子まきドローン墜落 事故からの教訓

岐阜県大垣市郭町(くるわまち)の大垣公園で、飛行中のドローンが墜落してしまいました。 https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20171104-00050068-yom-soci

複数人、おけがされたとの事ですが、死亡事故が起きなかったのは、不幸中の幸いだと思います。仕事がら対岸の火事ではありません。二度と同じ事故を起こさないためにも、そして万が一事故が発生した場合のリスクヘッジとして、事故から教訓を学びたいと思います。

航空法

弊社ブログ「ドローンに関連する法律・規制」でもまとめていますが、航空法では、この町は住宅密集地、いわゆるDID地区に相当します。そして、イベントでドローンを飛行させ、お菓子を投下していますから、法律的には、DID地区の飛行、イベント(催し)、物件投下の3つの許可が必要となります。町のイベントですから、許可は取っているのかと思います。

ただ、これらの許可が出る条件としては、第三者の人、物の上空を飛行させないこと、そして、ドローンと第三者とは安全距離を取る事(一般的には、最低限ドローンの高度と同じくらいの安全距離が必要)が求められています。

リスク管理

これは、いつも私のお客さんにも説明することですが、ドローンはいつか落ちますと説明します。安全を追求した実機航空機でさえ落ちるのですから、ドローンも例外ではありませんと。

例えば人的ミスは、心がけや訓練、体制等により防ぐことは出来ても(自分で制御できる領域、controlable領域といいます)、機体のトラブルのような受動的なもの(uncontrolable領域)は防ぐことは出来ません。

いくら整備しても、飛行中に制御装置が壊れてしまったら、操縦不能になります。電子回路というのは、場所にもよりますが例えばコンデンサ1個壊れてしまえば正常に働かなくなります。もしくは、強い電磁波を受けて内部の半導体が一度でも誤動作したらもうリセットかけるまでは復帰しません。

猛禽類の鳥が攻撃してくる可能性もあります。(「鳥の習性を知りドローンを飛行させる」を参照)

ですから、落ちることを前提にリスク管理をすることがとても大事です。大勢の方がいるイベントで、大型ドローンを飛行させるわけですから、もっと安全距離もしくは、防護柵等の設置対策が必要だったのかもしれません。。お菓子をまくイベントが成り立つかは、また別の話として..。

推定事故原因

映像を見る感じでは、操縦ミスという部類ではなく、機体が完全に真横になって落ちていますから、機体の姿勢制御装置(IMU)が壊れてしまったか、SPECで規定されたペイロードオーバによりIMUが制御範囲を超えて、機体のバランスを崩してしまったか、どちらかではないかと思います。

操縦電波の混信という可能性もありますが、混信した場合はドローン側は操縦の電波は受けず(命令を無視し)自律ホバリングします。万が一、一部(混信の)命令を受けたとしても、ぴくぴくとごく短時間の反応するだけですし、連続的に命令を受けたとしても、IMUが正常であれば機体は真横にはなりませんから、混信の可能性は低いと思われます。

ドローンは、ヘリコプタと違い舵というものが無く、電気的に各モータの回転数を制御して姿勢を制御します。そのため、ペイロードオーバの状態では、外乱等によりバランスを崩すと、一気に制御を失う特性があるようです。

ドローンは、ペイロード以上の重量があっても飛行出来ますし、安定している時は安定していますから、実際にどの位の余裕度で飛行しているかは、わかりにくいのは確かです。少なくてもメーカのSPEC内で運行する必要があります。

長年空ものラジコンを扱ってきていますが、本当にいろんな原因で落ちますし、ドローンも例外ではありませんし、今回と同様な形で大型ドローンが落ちるのを所属するラジコンクラブで目の当りにしています。本当に過信は禁物です。

以上です。

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