件名に関して、ドローンに携わっている人向けにシリーズで記事を書いていこうと思っています。航空力学や機体、電気・電子をメインにプロセッサのリアルタイム性の話までいければと思います。今のドローンのシステムは、残念ながらプロセッサのリアルタイム性に疑問が付きます。。
大学研究室のテーマとして考えられはいかがでしょうか? ネタはかなりあるかと思います>教授様、大学生様
わたくし筆者は、学生時代は航空力学、機体、エンジン、材料、航空法、航空電気を学んでおりました。就職は残念ながらその道に進めなかったのですが、某メーカにて半導体の設計という電気・電子を長く経験することが出来ました。趣味も今は行っていませんが、ラジコンヘリコプタを20年位行っていましたので、理論も操縦もドローンにジャストミートしてしまいましたorz。
ドローンの特徴
ドローンは、ご存知のように従来のヘリコプタや飛行機とは違い、機械的な舵がなく、全ての姿勢制御は各プロペラの回転数を変化させて制御します。そのため、基本となる制御は、いわゆるIMU(慣性計測装置)によって角速度や、角速度では検出できない加速度、磁気センサ、圧力センサによって、ピッチ(上下)、ロール(横方向回転)、エレベータ(縦方向回転)ヨー(水平軸の左右の向き)の姿勢を判断し、モータを制御するアンプに指令を伝え制御を行います。
加えて業務で使用出来るような高価なドローンは、GPSを搭載し、このGPSとIMUが連動する事で、外乱である風を受けても、任意の位置にて安定的にホバリングをします。
ドローンは端的に言えば、フレーム(骨組み)、動力(含む推進装置)、電子制御の3つだけで構成されますが、全ての方向の舵は電子制御で行うので、機械的には非常にシンプルなのが大きな利点です。しかし、実はこれがドローンの最大の弱点でもあるのです。
ドローンの弱点
ドローンは、ヘリコプタや飛行機に対して、信頼性という面で最大の弱点があります。それは、直接人間がドローンを操縦出来ないという事です。ヘリコプタや飛行機は、機体そのものに自律安定があり、かつ各系統毎(ピッチ、ロール、エレベータ、ヨー)に機械的な舵が付いていますので、基本人間が直接操縦することが可能です。(ヘリコプタのテールだけはジャイロ制御がないと人間のみではまず制御できませんが、このテールがなんらかの原因により制御不能になった場合は、ある程度の高度が必要ですがオートローテーションという方法で不時着する事が可能です。事業用ライセンスの必須科目です。)
ドローンの場合は、基本機械的な自律安定というものは無く、人間からの操縦信号はIMUを通してになりますので、IMUが壊れた場合は、一切操縦することは出来なくなります。フェールセーフシステム的な考え方としては、IMUの出力側にも人間からの操縦信号をOR(論理和)するのが望ましいと思いますが、機体の自律安定はないので、IMU制御がない状態では人間が制御できるレベルではありません。ヘリコプタのテール制御のようなものが、複数のモータに対して、3軸への制御が必要となるわけです。つまり、ドローンの性能や信頼性は、IMUという電子制御に大きく依存してしまっていると考えています。
もし、ドローンを有人化、あるいは有人化まではいななくても商用として町の中を飛び交うように出来るようにする場合、この制御周りのフェールセーフは、とても重要で課題になると思います。電子制御にのみに頼った機体制御は、信頼性的にどうなのか、例えシステムを2重、3重化しても、電源システムがダウンしたときにどうするのか、大きな課題となります。
次回に続きます。