更新しました(2020.9.19)。
UAV測量に使用するSFM処理(Structure from Motion)を行うソフトウエアは、海外含めていろいろな所から販売されていますが、測量会社様はじめ日本で多く使われているのがAgisoft社のMetashapeとPix4D社のPix4Dシリーズです。
また近年、日本製のTerra Mapperも登場しており、ユーザ様の使用目的による選択肢が広がりました。弊社では、Terra Mapperに関しても機能、性能等の詳細を確認しTerra Mapperにて報告しておりますので、ご参考にしてください。
以下、MetshapeとPix4Dの比較に関する内容になります。内容は十分確認した上で掲載しておりますが、購入される場合はご自身で十分ご確認下さいます様お願い申し上げます。
概要
Pix4Dには、SFM処理をするソフトウエアと3Dモデルを作成するための撮影アプリがあります。次のラインナップがあるようです。
SFM処理プロダクト
- Pix4Dmapper(航空写真測量用、農業分野で利用可能)
- Pix4Dsurvey(写真測量/SfMとCAD間のギャップを埋める)
- Pix4Dmatic(大規模マッピング用)
- Pix4Dcloud(オンラインプラットフォーム)
- Pix4Dreact(緊急対応機関向け2D高速マッピング)
- Pix4fields(農業支援用にアルゴリズムを特化)
- Pix4Dinspect(産業点検用)
- Pix4Dengine(自動処理化)
- 教育
撮影アプリ
- Pix4Dcapture(測量用途の飛行計画モバイルアプリ)
- Pix4Dcatch(地上における3Dモデル用撮影の為のモバイルアプリ)
- Pix4Dscan(垂直構造物点検用途の飛行計画アプリ)
製品の中でメインとなるPix4Dmapperの処理はデスクトップもしくはクラウドが可能となっており、デスクトップの場合は詳細な制御(GCP設定、点群編集などによる精度向上)、クラウドの場合は決まったテンプレートによる処理(GCP設定も可能)となっているようです。前者は詳細な合成、後者は簡易的でスピード優先というイメージでしょうか。
クラウドに関しては、以前日本では、国際航業様と提携し日本のサーバで処理されてましたが、現在(2019年から)はその運用は停止しスイスのローザンヌで対応されているようです。データの保存は日本のサーバということですので、処理は日本以外のサーバで、保存はアマゾンウェブサービスのセキュリティを通して日本で、という事だと思います。
また、Pix4DはSFM処理ソフトウエアだけではなく、ドローンのSFM処理用撮影を支援するPix4DCapture(無料)というソフトウエアも付属されています。対応している機体のメーカとしてDJI等ありますが、その機種が増えていること、そして新たにParrot、Yuneec等にも対応しているとのことです。以前は、GSD(地上解像度)や高度が10m単位の設定など、日本でのUAV測量用として使用するには機能的にかなり厳しかったのですが、現在はGSDに応じた高度の設定が可能になっております。詳細は、Pix4DCaptureインプレッションをご確認ください。しかしながら、ドローンがDJI製品であれば、後述するGround Station Proが直感的にも、機能的にも、使いやすいかと思います。
一方、Agisoft Metashapeは、全ての機能が一つのパッケージに盛り込まれています。Simple is Best. 一つのライセンスで、測量、建築用、農業用といったモデリングが可能です。処理はデスクトップのみでしたが、Ver1.5よりクラウド対応(現在はテスト期間)が追加となりました。
どちらのソフトウエアでも、DJI社からリリースされているアプリ「Ground Station Pro」を使用することで、3Dモデリング、オルソフォト、UAV測量用の撮影を行う事が出来ます。基本無料で使用できますが、構造物のモデリング用の撮影(3DマップPOI)、撮影した写真から地図作成(PhotoMap)、KMLファイルのインポート機能は、有料オプションです。
専用のソフトウエアだけあって、日本のi-constructionに必要な機能が盛り込まれています。尚、DJI社のソフトですので、使用出来る機体はDJI社のみ(あるいはDJI社のフライトコントローラ)に限られます。但し、カメラに関しては、DJI製以外の設定も可能です。一眼カメラなども使用可能です。
また、少し余談になりますが、Ground Station Proは、Googleマップを使用した2次元の平面図での設定になりますので、地形の高低差の激しいところでは設定が難しい場面が多々あります。現在その問題を改良したGoogleアース(実際には、Googleハイブリッドというのが使われています)の様な形で3次元画面で設定できるSPHエンジニアリング社のUgCS Clientという次世代のGround Stationソフトウエアが出てきております。UgCS Clientは、デフォルトで使用されている標高モデルは、Googleアースが使われていますが、事前にファントム4RTKなどでラフに撮影した写真よりボタン一つで正確な標高モデルを作成し、カスタムモデルとして取り込み、飛行ルート計算できるのが強みです。詳細は、UgCS Ground Stationソフトウエアをご確認ください。
UAV測量、オルソ、3Dモデル作成に当たって、ドローンはどのような物を購入したらよいのか、パソコンの処理能力はどの位必要か、撮影方法はどのように、といった具体的な事に関しては、弊社のMetashapeサポートを参照してください。必要な機材のコンサルティング、販売、サポートを行っております。お気軽にsells@kuu-satsu.comまでお問い合わせください。
ライセンス価格
Pix4Dは、プロダクトによって買取/年間/月の3形態のライセンスがあります。
下記にライセンス価格をpix4d.comのホームページから抜粋します。単位はCHF(スイスフラン)です。価格はおそらく税別(明記無し)です。
買取 | 年間 | 月間 | 備考 | |
Pix4Dmapper | 4490 | 1デバイスアクセス | ||
Pix4Dmapper | 3200 | 320 | 2デバイス同時アクセス | |
Pix4Dsurvey | 1800 | 300 | 1デバイスアクセス | |
Pix4Dmatic | 3900 | 570 | 1デバイスアクセス | |
Pix4Dcloud | 3200 | 320 | 全てのクラウド機能 | |
Pix4Dreact | 990 | 390 | 39 | 1デバイスアクス |
Pix4Dfield | 3200 | 1839 | 230 | 1デバイスアクセス |
為替レートは、実際に日本円で購入する場合は、カード会社や金融機関の手数料としてレートは3~5%ほど加算されますので、ご注意ください。
日本での実勢価格は、Pix4Dmapperは、恒久ライセンス(1デバイス)税別50万前半、年間ライセンスは30万後半~40万前半という所です。
Metashapeは、買取のみで税別40万円台です。用途は限定されませんし、Ver1.99(現在Ver1.6)まで保守費無料となっております。このライセンス形態のシンプルさと、保守費含めた価格のお手軽さが世界的にシェアを持っている理由と考えます。
機能比較
i-construction観点で必要な機能としては、双方のソフトウエアとも基準点の設定、アライメント処理、高密度クラウド処理、メッシュ処理、DEM生成、オルソモザイク/等高線/DEM等のエクスポート、ポイントクラウドのクラスフィケーション、面積、体積、長さの計測、大規模対応、また農業用(植生)、建築物用が出来ますので、ほとんど差はないと言えます。処理速度の差は、最新バージョンで比較はしていないのでわかりません。
また、処理の制御パラメータはMetashapeの方が多く、Pix4dは簡易的です。玄人向け、一般向というコンセプトの違いなのかもしれません。
Pix4dは、今までMetashapeのPythonスクリプトのような自動処理が出来なかったのですが、Pix4Dengineが追加されましたので、自動処理は可能になったのかと思われます。
サポート・バージョンアップ対応
Pix4Dは、最初の1年間は無償サポート及びソフトウエア保守付きです。サポートは基本的にメールベースになります。代理店によっては、電話によるサポートや別途サポートプランが用意されている場合もあります。
Pix4Dは、買取だったとしても、2年目以降のソフトウエアバージョンアップ等は、保守契約(6万~9万/年)が必要になります。
Metashapeは、最初の1年間は無償サポート、ソフトウエアの保守対応は、1.99台まで無料対応となります。現在は、(2020.9.13時点 1.6台)です。また、メーカサポートに関しては、1年間のサポート付きとなりますが、メーカの考え方としては1年間あればほとんどの方は使い方を取得するので、そのようにしているということです。実質的には、2年目でも無料で問い合わせは可能です。但し、メーカサポートは全て英語となりますので、弊社ではご希望のお客様には、サポート会員として、日本語による技術サポートやソフトウエアバージョンアップによる新機能などの解説をHPにて閲覧出来るようにしております。
使用頻度と保守、金額を考慮してライセンス形態を考える必要がありますが、どちらも使いこなすにはある程度の時間がかかりますので、長い目で考慮する必要があります。
マニュアルの日本語対応、ノウハウ
どちらも日本語マニュアルは準備されていますが、ソフトウエアのバージョンアップは、ある程度のサイクルで変わっていくので、日本語対応バージョンが遅れているのはどちらも同じようです。弊社は、1ヵ月以内のリリースを心がけております。Metashapeの場合は、ここ数年、マニュアルは1年に1度更新されています。
弊社でMetashape Professionalライセンスを購入されたお客様には、Metashape日本語マニュアル(PDF) (Ver.1.99まで無料更新)及びUAV測量トレーニングノートの最新版を無料ダウンロードできます。UAV測量トレーニングノートは、今までのノウハウ全て含めています。
複数の観点
比較した結果、性能的な差はともかく機能的な差がなくなりましたが、詳細な設定を行うのであればMetashapeという事になります。特に大量の処理を自動化したい場合は、Pythonは必須になります。
ソフトウエアは外国の会社のため、技術的に詳しい日本人スタッフがいる販売店を利用された方が良いかと思います。また、現在ではネット上の情報という観点では、Metashapeの方が情報量が圧倒的に多いです。Pix4Dは、理由はわかりませんが、ほとんど情報がありません。
弊社では、Metashapeライセンス、日本語マニュアルの販売をしておりますが、各国立大学様、私立大学様へ60校超ほど販売しております。近い将来、これら卒業生が即戦力となる事も踏まえて考慮されるのも良いかもしれません。
国土交通省の測量会社様へのアンケート結果では、使用率が高いのは、Metashape、Pix4Dという事です(シェア順は、おそらく記載している順番通りだと思われます)。
Metashapeは、古くから航空会社の航空測量で使用されており、信頼度は一番高いと思われます。Metashapeは歴史が深い分、他と比較して多くのフォーマットにも対応しています。また弊社と協力させて頂いている測量会社様(3社)も全社、Metashapeを使用しています。
MetashapeやPix4dなどの点群ソフトは、ドローンというほとんどのお客様にとってはなじみのない物を扱い、そして写真測量の概念も理解する必要があります。また、点群ソフトも使いこなすのにソフトウエアの特性やコツを知る必用があります。弊社では、Metashapeを購入されたお客様には、弊社のノウハウをまとめたUAV測量トレーニングノートをリリースしているため、初めてUAV測量を行ってもサポート1、2回程度で問題なく結果を出されています。
他社様で購入された会社様は、残念ながらお困りになられる事が多いようで、弊社のサポート情報(一般公開していない情報)を必要とされます。原因は購入したソフトウエア販売店のサポート問題もあるようで、購入先を誤ってしまったと弊社に相談されてきます。これは本当のお話で、追加のライセンスは弊社で購入して頂いております。
また、販売店も含めほとんどの会社様が、その上位概念である写真測量の基本をご存知ないため、ソフトウエアを正しく扱えていない面もあります。そういったリクエストにお応えする為、弊社では「UAV測量トレーニングノート」をライセンスに付属させて頂いております。自信もってお勧めいたします。少しでもお力になれれば幸いです。
Metashape関連情報はこちらへ
Metashapeライセンス詳細はこちらへ
以上です。