第1話 XMPメタデータのお話 -Metashapeとの関係-

今回は、ネット上にほぼ情報が無いため、ほとんどの方はご存知の無い話かもしれません。今回、体系的にまとめる事によって、皆さまに情報が広がれば幸いです。

DJI製品、特にRTKを装備したPhantom4RTKやMatrice300 RTKなどを使用してUAV測量を行う場合、座標や高度、DewarpDataなどが記述されているXMPメタデータを理解しておく必要があります。これらのデータは、Metashapeなどに読み込むことも可能ですし、PPK-Goなどの後処理ソフトの結果確認をする上でも必要な知識となります。

*私も良くわかっていない部分があったため、弊社で扱っていますPPK-Goの動作検証に各メーカとやり取りをして理解を深める事が出来ました。

概要

XMPメタデータとは、Extensible Metadata Platformの略で、XML(Extensible Markup Language) を利用したメタデータ(データの情報の意)のことです。JPEGの中にそのまま記述されています。通常、JEPGなどのメタデータはExif(Exchangeable image file format)が良く知られていますが、MetashapeはExifは使用せず、このXMLの値が用いられています。

XMPメタデータ

XMPは、JPEGファイルなどをテキストエディッタで直接開き、xmpなどで検索すると見つける事ができます。Windowsのテキストでも開くことが出来ます。ほとんどは、ファイルの冒頭にありますので、開いた後少し下にスクロールすると確認する事が出来ます。

以下のように、xmpmetaのタグで括られた部分が相当します。この中には、日付やファイル名、カメラ名、座標、高度、DewarpDataなどが含まれます。Matirce300 RTKでは、カメラや機体のシリアル番号も含まれています。

<x:xmpmeta xmlns:x=”adobe:ns:meta/”>
<rdf:RDF xmlns:rdf=”http://www.w3.org/1999/02/22-rdf-syntax-ns#”>
<rdf:Description rdf:about=”DJI Meta Data”
xmlns:tiff=”http://ns.adobe.com/tiff/1.0/”
xmlns:exif=”http://ns.adobe.com/exif/1.0/”
xmlns:xmp=”http://ns.adobe.com/xap/1.0/”
xmlns:xmpMM=”http://ns.adobe.com/xap/1.0/mm/”
xmlns:dc=”http://purl.org/dc/elements/1.1/”
xmlns:crs=”http://ns.adobe.com/camera-raw-settings/1.0/”
xmlns:drone-dji=”http://www.dji.com/drone-dji/1.0/”
xmp:ModifyDate=”2021-04-18″
xmp:CreateDate=”2021-04-18″
tiff:Make=”DJI”
tiff:Model=”FC6310R”
dc:format=”image/jpg”
drone-dji:AbsoluteAltitude=”+259.89″
drone-dji:RelativeAltitude=”+0.00″
drone-dji:GpsLatitude=”42.xxxxxxxx”
drone-dji:GpsLongtitude=”141.xxxxxx”
drone-dji:GimbalRollDegree=”+0.00″
drone-dji:GimbalYawDegree=”+147.10″
drone-dji:GimbalPitchDegree=”+0.00″
drone-dji:FlightRollDegree=”+0.60″
drone-dji:FlightYawDegree=”+147.10″
drone-dji:FlightPitchDegree=”-0.10″
drone-dji:FlightXSpeed=”+0.00″
drone-dji:FlightYSpeed=”+0.00″
drone-dji:FlightZSpeed=”+0.00″
drone-dji:CamReverse=”0″
drone-dji:GimbalReverse=”0″
drone-dji:SelfData=”Undefined”
drone-dji:CalibratedFocalLength=”3666.666504″
drone-dji:CalibratedOpticalCenterX=”2736.000000″
drone-dji:CalibratedOpticalCenterY=”1824.000000″
drone-dji:RtkFlag=”50″
drone-dji:RtkStdLon=”0.00000″
drone-dji:RtkStdLat=”0.00000″
drone-dji:RtkStdHgt=”0.00000″
drone-dji:DewarpData=” 2019-11-04;3703.770000000000,3696.810000000000,-20.570000000000,
-25.320000000000,-0.282531000000,0.131383000000,0.000745008000,
-0.000295836000,-0.045127800000″
drone-dji:DewarpFlag=”0″
drone-dji:PhotoDiff=”34YDGAJ0013X5W20170101000311″
crs:Version=”7.0″
crs:HasSettings=”False”
crs:HasCrop=”False”
crs:AlreadyApplied=”False”>
</rdf:Description>
</rdf:RDF>
</x:xmpmeta>

DewarpData(例)

DewarpDataは、DJIのカメラのパラメータ補正値ですが、製品毎に校正されたパラメータとか、設計値とか、複数の憶測があり、またメーカの説明分をみてもどちらなのかわからない状況ですが、私的には弊社のPhantom4 RTKの購入時期とXMPメタデータの日付から鑑みるに、おそらく設計値かと思っています。量産の各製品毎に校正というのは、非常にコストがかかりますから。

DewarpDataは、Phantom4 RTKからXMPメタデータの中に記述されてます。このDewarpDataは、いつもXMPメタデータに存在しているわけではなく、撮影時の設定によってXMPに出力されるか否かが切り替わります。

Phantom4 RTKの場合、

  • 「カメラ設定」⇒「ひずみ校正」OFFにしていると、DewarpDataはXMPメタデータに出力されます。
  • 「ひずみ校正」ONの場合は、画像の歪は無くなりますので、DewarpDataは出力されません。

DewarpDataのフォーマット

drone-dji:DewarpData=” 2019-11-04;3703.770000000000,3696.810000000000,-20.570000000000,
-25.320000000000,-0.282531000000,0.131383000000,0.000745008000,
-0.000295836000,-0.045127800000″

記載されている順番は、fx,fy,cx,cy,k1,k2,p1,p2,k3となっています。
fx,fy:単位pix
cx,cy:単位pix

Metashapeの場合、レンズキャリブレーションツールを持っていますので、ご自分で校正を行う事で正確な値を得る事も出来ますし、個別の製造ばらつきを気にしなければ、このDewarpDataを使用する事も出来ます。このパラメータを使用する場合は、お使いの点群ソフトウエアが同じモデリングかを確認する必要があります。

*一般にこのような光学的な校正データを使用する事は、非常に低コストで運用する事ができます。測量など高精度な校正が必要な場合は、GCPの配置によりMetashapeのセルフキャリブレーションにより精度の高い校正値が得られます。用途に応じて選択する必要があります。

座標/高度(例2)

XMPには、座標、高度データも出力されます。

座標は、WGS84座標、AbsoluteAltitudeは楕円体からの高度、RelativeAltitudeは、離陸地点からの高度となります。ファントム4RTKを使用している場合、AbsoluteAltitudeにはRTK補正された正確な値が出力されます。ちなみに、ExifにはAbsoluteAltitudeの値が代入されます。

RTKフラグ

drone-dji:RtkFlag=”50″は、RTKの状態を示しており、50が正常値(fix)になります。

XMPメタデータをMetashapeに取り込むには

写真から自動的にMetashapeに取り込むには、以下の様に行います。全てチェックを入れれば良いというものでもないと思いますので、必要な部分を選択してください。

例えば、DewarpDataに関しては、写真を取り込んだ後で、カメラキャリブレーションを確認すると、以下の様にプリキャリブレーション状態に変わります。

それ以外のものは、「座標データ」パネルに反映されます。

この辺りを理解していますと、PPK後処理結果の確認も出来ますし、Metashapeの解析にも幅が出ます。ぜひお役立てください。

後処理ソフトPPK-Goの詳細
Agisoft Metashapeの詳細

以上です。

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